パートナーと二人暮らしの人の相続入門

[2015/8/31 17:25]

二人暮らしの相続はモメやすい

パートナーと二人暮らしで、子供がいない家庭では、パートナーに万一のことがあった場合に、相続でモメやすいと言われています。

二人の間に子供がいないと、パートナーの財産についてパートナーの父母にも相続権があります。法律で決まっている分配比率(法定相続分)は、配偶者が3分の2、父母が3分の1になります。

また、パートナーの父母が死亡している場合は、パートナーの兄弟姉妹に相続権があります。この場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1になります。

パートナーの父母や兄弟姉妹に相続を放棄してもらえば良いのですが、手続きには戸籍謄本が必要で煩雑ですし、関係者の誰かが相続を放棄してくれない可能性もあります。

そこまで行かなくても、パートナーと二人で築いてきた遺産が、一部とはいえ他人に分割されることが納得できないでしょう。それを防ぐためには、万一に備えて、それなりの手続きが必要なのです。

パートナーへの思いやりとして、自分から遺言状を書いておこう

一番良い方法は、お互いに自分達の財産すべてをパートナーに譲るという遺言状を書くことです。

二人暮らしのパートナーは、ともに思い出と財産を築いてきた相棒です。一緒に人生を楽しく過ごしてきたことに感謝して、そのお礼として遺言状を書きましょう。

正しい手順で用意された遺言状が用意されていれば、パートナーの父母や兄弟に遺産を分割する必要はなくなります。

ただし、有効な遺言状を用意するには法律の知識が必要となります。確実性が高い「公正証書遺言」を作ることができる公証役場や、地方自治体の法律相談窓口などに相談することをお勧めします。

なお、籍を入れていない事実婚の場合は、遺産の相続権がありません。この場合でも、遺言状を書いておけば、確実に遺産を相続することができます。

事実婚のパートナーは法律的には弱い存在なので、お互いの立場を守れるように協力しあいましょう。

[シニアガイド編集部]