55歳以上なら金利を上乗せしてくれる定期預金

[2015/9/10 12:39]

銀行もシニアに視線

シニアは、退職金という大きな一時収入や、公的年金による定期的な収入があるので、銀行にとって魅力的な存在です。

ただし、メガバンクのシニア向けサービスは富裕者向けの会員制サービスが多く、投資相談や相続相談などに重点が置かれています。一方、競争の激しい地方銀行や第二地方銀行では、手軽な金利優待などの優待策が用意されています。今回は、金利優待を中心に紹介します。

なお、データは2015年9月現在の数値で、金利は税引き前表示です。

55歳以上で金利優遇

大阪に本社がある「大正銀行」には、55歳以上の個人なら誰でも金利を優遇してくれる定期預金「大正シニア55」があります。

預け入れ金額は10万円以上1,000万円以下。預け入れ期間は1年/2年/3年。それぞれ、定期預金の店頭表示金利に金利が上乗せされます。

2015年9月現在の金利は、1年ものが0.125%(うち上乗せ分が0.10%)、2年ものが0.180%(同0.15%)、3年者が0.250%(同0.20%)ですから、普通の定期預金に比べてかなり有利です。

惜しいのは、「新規にお取引のお客さまは、健康保険証等、ご本人を確認できる資料をご提示ください」という条件があるので、地元の人以外は、大阪まで行って開設する必要があることです。

なお、大正銀行は三菱東京UFJ銀行の関連会社なので、普通口座については三菱東京UFJ銀行のATMが手数料無料で使用できます。口座開設も、全国の三菱東京UFJ銀行でできると便利なのですが。

年金受取口座があると金利を優遇

次に、年金を受け取っている口座があると金利を優遇してくれる銀行があります。

とくに上乗せ金利が大きいのが、和歌山県に本店がある「紀陽銀行」です。その「年金定期」は、公的年金を紀陽銀行の口座で受け取ることが条件です。預け入れ金額は100万円以内で1年ものです。

スーパー定期の店頭表示利率0.025%に、上乗せ金利が0.40%が加わって、金利は0.425%となります。

さらに紀陽銀行には「プレ年金定期」という商品も用意されています。これは、58歳以上65歳未満で公的年金受取を紀陽銀行で行なうと予約すると利用できます。実際の年金支給が始まる前に押さえておくための商品ですね。

こちらの預け入れ金額は100万円までですが、期間は1カ月以上2年未満です。上乗せ金利は「年金定期」と同じ0.40%です。

スーパー定期の金利は1年までは0.025%で、2年以上は0.030%ですから、「プレ年金定期」の金利は0.425%~0.430%となります。2年ものの定期で0.430%というのは、なかなか魅力的な商品です。

なお、紀陽銀行には「年金定期プラス」という最大900万円までを3年間まで預けられる商品もあります。ただし、上乗せ金利は0.15%に下がりますので、「年金定期」に預けきれなかった分に使うのでしょう。

紀陽銀行以外の優遇定期

定期預金の金利を上乗せしてくれる銀行は紀陽銀行以外にも、意外に多くあります。

ちょっと古いデータですが、2008年時点に年金受給口座保有顧客向けサービスを実施している地方銀行と第二地方銀行は100行を越えていました(農中総研調べ)。

また、常設の商品はなくても、口座獲得のために「年金振込指定替え大キャンペーン」と称して期間限定商品を販売した例もあります。

まず、自宅に近い地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、JAなどのホームページを確認してみましょう。

出し入れ自由口座に優遇がある広島銀行

残念ながら、年金受取口座を持つことで、普通預金口座の金利を上乗せしてくれる銀行は見つけられませんでした。

ただ、広島銀行では、「貯蓄預金(年金ご指定型)」で金利優遇をしてくれます。

貯蓄預金は、普通預金のように出し入れ自由で、預入れ残高が多くなるに従って適用金利が高くなる商品です。

ちなみに、広島銀行の現在の普通預金の利率は0.020%です。また、現在の超低金利下では貯蓄預金の金利も0.020%で、普通預金と利率は変わりません。これが、「貯蓄預金(年金ご指定型)」だと0.030%と、金利が0.01%上乗せとなります。

ただし、給与や年金の受取口座や、公共料金やクレジットカードなどの決済口座にはできません。普通預金の代わりにはなりませんが、いつでも現金を引き出せるので、とりあえず手元にあるお金を預けておくという用途に向いています。

年金の受給権は、シニアにとって大きな資産です、今回のような金利優遇をうまく利用して手持ちのお金を少しでも増やしましょう。

[シニアガイド編集部]