株式投資をしている個人投資家のプロフィール

[2015/9/11 17:09]

投資をしている人が知りたい

シニアになると、普通に暮らしていても、銀行や証券会社から「投資」の誘いがたくさん届きます。「年金が頼りにならない以上、手元の資金で投資しよう」という趣旨の文章がばかりです。

では、実際に、こういう誘いを受けて、投資に参加している個人投資家というのは、どんな人達なのでしょう。

そのプロフィールが分かれば、「これは私に近しい立場だから、私も考えなければ」とか「投資をしているのは私とは立場が異なる人たちだから急ぐ必要はない」とか判断する材料になるでしょう。

幸い、証券会社の業界団体である日本証券業協会が「個人投資家の証券投資に関する意識調査」を毎年行なっています。投資に参加して欲しい人達の団体によるものですが、まっとうな調査方法で行なわれており、信頼性は確保されていると見てよいでしょう。

2014年10月に公開された、現時点で最新のレポートから、「投資」に参加している個人のプロフィールを探ってみましょう。

世帯収入に余裕がある人が多い

この調査のサンプル数は1,050人で、年代は20歳~79歳にほぼ均等に割り付けられています。

回答者の家族全体の世帯収入は、「300~500万円未満」が26.2%で、次は「700~1,000万円未満」で20.8%、3番目が「1,000万円以上」で20.1%となっています。

世帯単位でみれば、生活には余裕がある層と言えるでしょう。

株式は100万以上300万円未満持っている

全員が「投資をしている」回答者1,050人の中で、「株式証券投資」をしている人は826人です。つまり、投資をしている人の8割は、投資銘柄を指定する株式証券に投資しています。

いま保有している株式の時価総額は、「100~300万円未満」が29.7%で一番多くなっています。次に「300~500万円未満」が14.3%、3位が「50~100万円未満」で13.3%です。世帯収入に比べても、ある程度の金額を投資していると言って良いでしょう。

ちなみに投資先は、「国内上場国内株」が92.3%と圧倒的です。「国内に上場していない外国株」に投資している人は2.2%に限られています。

値上がりだけが目的ではない

株式投資の方針は、「概ね長期保有だが、ある程度値上がり益があれば売却する」が44.6%と多くなっています。以下、「株主優待を重視」(11.5%)、「配当を重視」(9.8%)、「値上がり益重視であり、短期間に売却する」(9.6%)と続きます。

これだけ、株主優待や配当を目的とする人が多ければ、それらが期待できる国内株への投資が多いわけです。

株式の保有期間は「10年超」が33.5%で最多となっています。基本的に長く保有している人が多く、「1年超」保有している人は82.2%に達します。

逆に「1月未満」は1.0%で、1日のうちに売り買いしているデイトレーダーは少数派です。

ちなみにデイトレーダーに必須の「インターネット取引」は40.4%で、「証券会社や銀行の店頭」の43.8%にまだ届きません。

投資信託は小口が多い

回答者の中で「株式投資信託」をしているのは307名で、全体の3割程度に留まっています。やはり、資金だけ投じて運用を委託する投資信託よりも、投資する銘柄を自分で指定して投資したいのでしょう。

投資信託の購入額は、「100~300万円未満」が31.9%と多く、「50~100万円未満」が20.2%、「50万円未満」が18.2%で続きます。株式証券に比べて少し低めで、少額な投資の対象になっていることがわかります。

じっくりかまえて値上がり益以外も目指す

今回は1本のレポートを見ただけですが、それでも個人投資家の顔が少し見えました。

特に、株式の保有期間が長いことと、値上がり益だけではなく配当や株主優待も重視している人が多いというのは大きな特徴でしょう。

また、値上がり益を確保するために1日に何度も売り買いするようなスタイルではなく、長期保有を前提にどっしりとした構えでやっている人が多いこともわかりました。正業に従事しながら、手間を掛けずに、将来に備えた投資をしている姿が見えます。

[シニアガイド編集部]