介護保険を利用して、自己負担1割で手すり工事

[2015/9/12 23:14]

暮らしやすくするためのリフォーム

住宅のリフォームにはいろいろな目的がありますが、動きにくくなった身体でも住みやすい住宅に改修するための費用には介護保険が使える場合があります。支出される上限は20万円です。

介護保険による住宅改修は、自己負担が1割です。つまり、上限いっぱいの20万円の改修を行なっても、自己負担額は2万円ですみます。

申請にはいろいろな手続が必要ですが、毎日の生活を快適にするための制度ですから、必要な場合には積極的に利用しましょう。

なお、介護保険によるリフォームは、正式には「介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費の支給制度」と呼ばれています。

名前が長いので、関係者との打ち合わせでは「介護リフォーム」や「福祉リフォーム」と略して呼ばれます。この記事では介護リフォームと呼びます。

介護リフォームを利用する条件

介護リフォームを利用するためには、いくつかの条件があります。

  • 使用する人が介護保険の保険者である
  • 使用する人が、介護保険の要介護認定を受けている
  • 該当する工事の内容があらかじめ決まっている
  • 上限が一人20万円

順番にくわしく見ていきましょう。

介護保険の保険者の資格

介護保険の保険者は、「65歳以上の第1号被保険者」と「40歳以上65歳未満の第2号被保険者」があります。第2号保険者はガンなど16種類の特定疾病にかかっている場合のみ、介護サービスの対象となります。

介護認定を受ける

次に要介護度の認定が必要です。これは、市区町村の介護保険窓口に申し出て、主治医の意見書や訪問調査をもとにして判断されます。

なお、介護リフォームは「住宅改修費の支給」というサービスになります。要介護1~5、要支援1~2のすべてが対象ですから、使いやすいサービスと言えるでしょう。

工事内容は6つ

介護リフォームの工事内容はあらかじめ、次の6つに決まっています。

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え(扉の撤去を含む)
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • その他上記に付帯する必要な工事

これ以外の工事については、介護リフォームの対象になりません。

つまり間取りを大きく変えるようなリフォームや、キッチンのリフォームは対象となりません。

20万円が上限

介護リフォームの対象となる工事費は、原則として1人20万円までと決まっています。

20万円の範囲であれば、分割して使ってもかまいません。例えば、最初に手すりを5万円で取り付け、次に段差の解消に3万円、扉の取り替えに12万円という使い方もできます。

なお、20万円を超える工事も可能ですが、20万円を超えた分については全額自己負担となります。たとえば、工事費が25万円だったとすると、20万円を超えた5万円と、20万円の1割負担である2万円の合計7万円が自己負担分となります。

また、工事費の支払いは、いったん全額を支払い、後から介護保険からの償還を受け取る「償還払い」が基本です。ただし、工事を行なう地元の市区町村と契約をしていれば、自己負担分だけを支払う「受領委任払い」ができる場合もあります。

必ずケアマネジャーに相談しよう

介護保険制度では、「ケアマネジャー」が、介護サービスの利用についてのコーディネートを行なっています。毎月のケアプランの作成も行なっていますので、どのような介護が必要なのか一番良く把握している人です。

介護リフォームの利用についても、業者に相談する前に、必ずケアマネージャーに相談しましょう。
国民生活センターによれば、「介護保険が使えるからと言って工事を始め、高額なリフォーム料金を請求する」「手すりの簡単な工事で20万円を請求する」などの悪質な事例が報告されています。

詐欺まがいの業者にひっかからないためにも、まずは自分の状態をケアマネージャーに相談し、その上で、有効なリフォームの内容を決めるようにしましょう。

経験のあるケアマネージャーは、リフォームの事例もよく承知しています。工事業者についても実際の事例に基づいて良し悪しを知っています。自分達だけで判断せず、ケアマネージャーの知識に頼りましょう。

[シニアガイド編集部]