これから年金を貰う世代は65歳から支給と想定しよう

[2015/9/30 14:08]

ベースはやはり年金?

定年を意識する世代になって、まず考えなければならないことは定年後の生活設計です。

再雇用や独立、仕事をせずに悠々自適、田舎暮らしと、夢はふくらみますが、それを支える収入をまず考えましょう。

退職金や貯金などもありますが、長期的なベースとなるのは、これまで加入してきた年金の受給です。これが、いつから、いくら貰えるかによって、第二の人生の過ごし方が左右されます。

まず、自分がいつから、いくらぐらい受給できるのか、年金のモデル家庭をベースにして考えてみましょう。年金に関しては、細かい制度がたくさんあるのですが、ここでは大雑把に数字を把握することを優先します。

日本の年金は2階建て

現在の日本の公的年金制度は、大雑把に言うと2階建てになっています。

ベースとなるのは、「国民年金(老齢基礎年金)」で、公的年金に加入している人すべてが対象となります。

サラリーマンの場合、この上に厚生年金の「老齢厚生年金」が載ります。

具体的に、それぞれいくらになるのかモデルで見てみましょう。

現在の年金制度が改定された平成12年のモデル年金は妻が専業主婦の家庭が想定されています。夫婦ともに40年間(480月間)きちんと加入しており、夫の平均月額報酬は367,000円と想定されています。

この想定では、老齢基礎年金が67,017円、老齢厚生年金は104,092円となります。

夫の支給額は67,017円+104,092円で171,109円、妻の支給額は67,017円で、合計が238,125円となります。これを年収に直すと約286万円ですから、一定水準の生活ができるという想定です。

もちろん、加入月数が480カ月より少なかったり、妻の老齢基礎年金がある場合は、この金額よりも増減します。また、制度の改定やマクロ経済スライドの適用などにより、金額が変化することがあります。

これからもらう人は老齢基礎年金は65歳から

問題は以前のように、この金額が60歳から満額で貰えるわけではないことです。

平成12年の改正では、老齢厚生年金の支給開始年齢が、それまでの60歳から65歳に引き上げられました。ただし、移行措置として段階的に引き上げられます。老齢基礎年金にあたる部分は65歳からですが、報酬に比例する部分は生年月日によって、支給が開始される年齢が異なります。

また、女性は、雇用状況を踏まえて支給開始年齢が5歳低く設定されていたという過去の経緯があり、男性の5年遅れで行われます。

  • 男性の生年月日 報酬比例部分の支給開始年齢
  • 昭和28年4月1日以前 60歳
  • 昭和28年4月2日~昭和30年4月1日 61歳
  • 昭和30年4月2日~昭和32年4月1日 62歳
  • 昭和32年4月2日~昭和34年4月1日 63歳
  • 昭和34年4月2日~昭和36年4月1日 64歳
  • 昭和36年4月2日以後 65歳
  • 女性の生年月日 報酬比例部分の支給開始年齢
  • 昭和33年4月1日以前 60歳
  • 昭和33年4月2日~昭和35年4月1日 61歳
  • 昭和35年4月2日~昭和37年4月1日 62歳
  • 昭和37年4月2日~昭和39年4月1日 63歳
  • 昭和39年4月2日~昭和41年4月1日 64歳
  • 昭和41年4月2日以後 65歳

これで分かることは、これから年金を受け取る世代は「60歳時点では年金が受け取れない世代」だということです。

では、具体例で見てみましょう。たとえば、現在56歳の昭和34年4月1日生まれの男性は、63歳になると報酬比例部分の月額104,092円が支給されますが、64歳でも同額、65歳でようやく老齢基礎年金分が入って171,109円となります。

上記の金額を年収に直すと、63歳と64歳の年は約125万円ですから、これだけで暮らすのはちょっと苦しいでしょう。65歳で約205万円になって、なんとか一息というところでしょうか。

モデル家庭のように妻が専業主婦とすると、報酬比例部分がありませんから、妻の年金は65歳になるまでは支給されません。

つまり、これから年金が支給される世代の方は、夫婦ともに65歳になるまでは、なんらかの形で当てになる収入を確保することを考えましょう。

将来の計画を建てるときは、「年金は65歳から支給される」と割りきった方が良いでしょう。金額が少ない報酬比例部分は、予算に組み入れず預金に回しましょう。

国民年金の人は65歳まで貰えない

これまで見てきたように60歳から64歳までに支給されるのは、報酬比例部分だけです。

もともと報酬比例部分が無い、国民年金の場合は、老齢基礎年金が支給される65歳までは年金は支給されません。

60歳から繰上げ支給することもできますが、その場合は30%減額される上に、障害年金が受け取れないなどのデメリットがあります。

国民年金のみ加入している方は、サラリーマン家庭以上に、65歳まで確実に収入を確保することを心がけましょう。

ねんきん定期便で支給額を確認しよう

自分の年金が、いつから、いくら支給されるのかという詳細は、毎年、自分の誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認できます。

とくに、50歳以上の場合は定期便作成時の加入制度と同じ条件で、引き続き60歳まで加入したと仮定した将来の年金見込み額が記入されているので確認しましょう。実際に支給される金額にある程度近い金額となっています。

なお、50歳未満の場合は、これまでの加入実績に応じた見込み額なので、かなり内輪の数字が記載されています。実際の支給額は、これからの納付分が加わりますから、とくに若い方の場合は差があります。あくまで目安と考えましょう。

[シニアガイド編集部]