退職金はどれぐらい出て、どれぐらい税金がかかるのか

[2015/10/6 14:10]

大卒定年退職の退職金は平均1,567万円

退職金は、定年後の生活を支える重要な資金です。厚労省「就労条件総合調査結果の概況」(平成25年)という調査をベースに、どれぐらいの退職金の現状を見てみましょう。

勤め先の会社を退職した場合に、退職金が支払われる制度は、75.5%の会社に導入されています。

退職金については、一時金と年金の2つの制度がありますが、退職金制度がある会社のうち65%の会社では一時金のみとなっています。

退職一時金の平均金額は、大学卒で勤続35年以上の定年退職者についてみると1,567万円となります。大学卒で1つの会社に35年以上勤務して定年を迎えると、1,000万円以上の退職金が支給されています。

ちなみに、勤続年数が30~34年の場合、一時金の平均金額は1,457万円とあまり変わりありません。しかし、勤続年数が25~29年になると、平均金額は756万円とがっくり減ります。30年以上勤務しているかどうかで、大きな差があります。

また、35年勤務した場合に、退職年金制度のみの場合は1,822万円、一時金と年金の併用の場合は2,272万円で、年金制度を取っている会社のほうが支給額が多い傾向があります。

なお、退職金の制度や、計算方法は会社によって大きな差があります。ここで掲げた数字はあくまでも一例です。ご自分の退職金については自社の退職金制度を調べてみましょう。イントラネットなどで調べがつかない場合は、総務部門に確認してください。

「退職所得の受給に関する申告書」を必ず提出する

退職金は、老後の生活を支える重要な資金です。所得税でも「退職所得控除」という制度が用意され、税金が軽くなっています。

この控除を受けるためには、退職者から勤め先の会社へ「退職所得の受給に関する申告書」という書類を提出します。この書類が提出されていると、退職所得控除が適用された状態で源泉徴収された退職金が支給されます。

なお、提出していない場合は、退職所得控除の適用が受けられず、20.42%の税率で源泉徴収されてしまいます。この場合、退職所得控除の適用を受けるためには、自分で確定申告しなければなりません。確定申告の手間を避けるためにも、「退職所得の受給に関する申告書」は必ず提出しましょう。

ほとんどの場合、退職金に税金はかからない

さて、退職金についての控除手続きとしては「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、心配はありません。

しかし、実際に「退職所得控除」では、どれぐらいの金額まで控除されるのでしょうか、ちょっと計算してみましょう。

所得税の対象となる「退職所得」は、一般的には次の式で計算します。

(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

つまり、退職所得控除額が、退職一時金の金額と同じか上回っていれば、退職所得はゼロになって、所得税がかかりません。

主な勤続年数の退職所得控除額をまとめておくと、20年が800万円、25年が1,150万円、30年が1,500万円、35年が1,850万円、40年が2,200万円となります。

さきほど見た大卒定年退職者の平均退職一時金は1,567万円でした。その場合の、勤続年数を35年とすると退職所得控除額は1,850万円となります。この場合、収入よりも控除額の方が大きいので、所得税はかかりません。

つまり、退職所得控除をきちんと受けていれば、かなり退職金制度が充実している企業を除けば、退職金について所得税がかかる心配はほとんどないでしょう。20.42%の税金がかかった場合とは大違いですから、「退職所得の受給に関する申告書」はきちんと提出しましょう。

[シニアガイド編集部]