年末調整をきっかけに生命保険の見直しを考える

[2015/10/13 00:01]

年末は保険を見直すのに最適な季節

年末が近くなって、保険会社から生命保険の「払込証明書」が送られてくる季節になりました。

これは、会社員であれば年末調整、自営業であれば確定申告の際に使用する書類です。

具体的には、所得税に用意された「生命保険控除」を利用する際に、支払いを証明する役割を果たす書類です。

ちなみに、あなたは、年間でどれぐらいの生命保険料を支払っていますか? この書類で確認できるので、一度、よく見てください。

一般的に、生命保険に加入する時は、必要となるであろう保険金の金額から、加入する保険を決めます。例えば、「万一の際に遺族のために1,000万円は残したい」とか、「病院の差額ベッド代を考えて入院保障は1日に1万円以上などは欲しい」などの条件で選んでいます。

しかし、こうやって考えていくと、さらなる安心を求めて高額すぎる保険に入りがちです。

しかし、「欲しい」ものと「買える」ものに差があるのは、保険も一緒です。では、生命保険にはどれぐらいの金額を使うば良いのでしょう。

生命保険控除から妥当な保険料を読み取る

ここで、さきほど出てきた年末調整の「生命保険控除」に登場してもらいます。

生命保険控除では、生命保険の種類を3つに分けています。

  1. 遺族補償を対象にした「新生命保険料控除」
  2. 介護と医療保障を対象にした「介護医療保険料控除」
  3. 老後の保障を対象にした「新個人年金保険料控除」

普段加入している生命保険は、1と2を組み合わせた形のものが多くなっています。その割合は、保険会社から届く「払込証明書」に記載されていますので確認しましょう。

それぞれに控除額を定められていますが、現時点では控除額は共通で、年額で2万円~4万円です。

面白いのは、支払った保険料によって、控除額が変わることです。

保険料が2万円以下
全額を控除
保険料が2万円超で4万円以下
支払保険料×1/2+1万円
保険料が4万円超で8万円以下
支払保険料×1/4+2万円
保険料が8万円超
一律4万円

支払った保険料が2万円だと控除額も2万円ですが、保険料が2万円を超えると一部しか控除になりません。4万円だと控除額は3万円、6万円だと控除額は3万5千円、8万円だと4万円になります。

保険料と控除額に差を付けることで、国が一般的であると考えている金額を示しているのです。

保険料が2万円以下なら満額が控除されます。そして、4万円までなら大半が控除されます。つまり、このあたりまでが妥当な水準で、控除が頭打ちになる8万円超の保険料は払い過ぎというわけです。

生命保険料全体では3分野を合計しますから、年間の保険料が6万円までは必須の範囲、12万円までが妥当な水準、24万円以上は払い過ぎというわけです。

これが、“家族全体の生命保険料の年額”として国が考えている水準と見て良いでしょう。

必要な保障額を再検討しよう

年末調整や確定申告のために書類を提出する前に、各保険の払込通知書に記された保険料の金額を書き留めておきましょう。その金額の合計が、生命保険控除の枠と比べて多いのか少ないのか比べてみてください。多分、思っていたよりもたくさんの保険料を支払っているのではないでしょうか。

そして、加入している保険の保障額が、本当に必要な金額であるか考える時間を作りましょう。保険に加入した時期から時間が経っていればいるほど、必要な金額が少なくて済むことがあるでしょう。

生命保険料は保障額を優先して、月額の支払額が多くがちです。例えば、月に2万円であれば、年に24万円、35歳から65歳まで30年間支払うと720万円ですから、実は高額な買い物です。リスクと保障とのバランスを考えて、「本当に必要な保障」を「買える」範囲で購入しましょう。

[シニアガイド編集部]