終活は使わないクレジットカードの解約から始めよう

[2015/10/28 02:42]

家族が死去した際の必要な手続きの1つにクレジットカードの解約があります。

クレジットカードは、個人に属する財産なので、家族が引き継いで使うことはできません。また、そのままクレジットカードを放置しておくと、月単位で契約している会費などが引き続き課金されます。

さらに、カード番号などが流出して、なりすましなどの詐欺に遭う可能性もゼロではありません。

できるだけすみやかに、故人のクレジットカードは解約しましょう。

まず、クレジットカードを、契約者本人が解約する方法を確認しておきましょう。

次に紹介するのは、いろいろなクレジットカードに共通した解約方法です。まず、この方法をお試しください。

その方法は、「クレジットカードの裏に記載されているヘルプデスクの電話番号に電話し、解約したい旨を伝える」というものです。

ここから先はクレジットカード会社やクレジットカードの種類によって分かれます。

ヘルプデスクで本人情報を口頭で確認後、そのまま解約を承ってくれる。クレジットカードは自分で切断して廃棄する
ヘルプデスクが自動応答システムになっており、「解約希望の場合は×番を押してください」とガイドされる。ガイドに従って必要な情報を入力すると解約できる。クレジットカードは自分で切断して廃棄する
本人確認後、登録されている住所に解約申請書が送られてくる。申請書と切断したクレジットカードを郵送する

銀行系のクレジットカードの場合、書類が郵送されてくることが多いようです。さらに、銀行系カードの一部では、支店の店頭で手続きを求められることがあります。

なお、カード会社はインターネット上で請求金額などを確認できるサービスを行なっていますが、そちらのサービスから解約を申請することはできません。ヘルプデスクへの電話が一番簡単な方法です。

以上でお分かりのように、クレジットカードを所持している本人が、自分で解約する作業は、そんなに難しくありません。たぶん、多くの人が思っているよりも簡単です。

なお、1枚のクレジットカードを解約すると、派生したカードも同時に解約されます。例えば、家族会員カードや、ETCカードなどがそれにあたります。

家族など本人以外がクレジットカードを解約する場合も、自分で解約する場合と、基本は同じです。

まず、故人とクレジットカードについての情報を集めます。分からない項目があったら、調べがつくものだけで大丈夫です。

これらを1枚の紙にまとめておいてから、クレジットカード会社のヘルプデスクに電話します。

担当者にたどりついたら、「クレジットカードを契約していた本人が死亡したので、家族が代理として電話している、御社のクレジットカードを解約したい」という趣旨を伝えます。

本人が手続きする場合と異なり、ほとんどの場合、申請書類が郵送されてきます。申請書類を記載し、本人との関係を証明する書類(会社によって異なる)や、切断したクレジットカードを同封して郵送します。

クレジットカードに未決済の取引がなければ、解約作業は以上で終了です。

しかし、一般的には、メインで使用中のクレジットカードには、だいたい1～2カ月分の買い物や、月単位の会費などが未決済として残っています。さらに、リボ払いの契約や、キャッシングによる借入金が残っている場合があります。

したがって、これらの債務についても考えなければなりません。できるだけ早い時点で、クレジットカードの未決済金額を確認しましょう。

万が一、複数のクレジットカードに、それぞれ多額の債務が残っていた場合は、本人の死亡時から3カ月以内に「相続放棄」をしなければ、家族がその借金を負うことになってしまいます。

なお、相続放棄については、その効果について注意すべき点があります。また、相続放棄は取り消しができません。相続する財産の全貌が把握できた時点で、法律の専門家に相談しましょう。

クレジットカードの解約作業を、残された家族が行なうのは大変です。

作業の手間も大変ですが、一歩ずつ作業を進めていくうちに湧き上がってくる「ひょっとしたら大きな借金が出てくるのでないか。いや、そんなはずはない」というクレジットカードに特有の不安と迷いが疲れを増すのです。

同じ作業をしていても、全体像がわかっている自分がやるのと、全体が見えない闇の中で手探りで家族がやるのとでは、その重さは何倍も違います。

ぜひ、使っていないクレジットカードについては、「終活」の一環として自分で解約しておきましょう。枚数を減らせば減らすだけ、残された家族の負担も確実に減るのですから。

[シニアガイド編集部]