生命保険の死亡保険金の相場は1,500万円
他の人の加入実績を参考にしよう
生命保険は、値ごろ感がわかりにくい商品です。
自分に適した保険の種類と保険金額を見つけるのは難しい作業です。それは、本人の年齢や家族構成、不安要素に対する考え方などによって変わってきます。専門のファイナンシャルプランナーに相談しても、相談する人ごとに違う答えが出るでしょう。
では、せめて、普通の人はどれぐらいの保険に入っているのか分かれば、参考にすることができるではないでしょうか。
ここでは、公益財団法人 生命保険文化センターによって2015年に行なわれた調査をもとに、保険についての世間的な相場を見ていきましょう。
この調査は、2人以上の世帯4,020軒による回答を基にしています。
なお、ここで言う生命保険には、民間の生命保険会社のほかに、簡易保険、JA、県民共済/生協などを含みます。
約9割の世帯が生命保険に加入、死亡時の保険金は約1,500万円
まず、基本データです。
- 生命保険の世帯加入率は89.2%(個人年金保険含む)
- 世帯ごとの加入件数は3.8件
- 世帯全体の掛金は38.5万円
- 世帯主の死亡保険金は1,509万円
- 世帯主の入院時の給付金は1日9,600円
以前より減ったとはいえ、ほぼ9割の世帯が生命保険に加入しています。入っている保険は3.8本ですから、ほぼ、家族1人当たり1本の保険に入っている計算です。
保険の本数が3.8本で、世帯全体の掛金が約38万円ですから、保険1本当たり、年に約10万円かかっています。
世帯主に万が一のことがあった場合の死亡保険金は約1,500万円です。ちょっと少ない気もしますが、働き盛りの時期は保障額を数倍に増やす特約が多いせいでしょう。その時期に無くなると2倍以上の保険金が支払われます。また、入院時の給付は1日約1万円です。1日で1万円以上かかる差額ベッド代の相場を考えれば妥当な数字でしょう。
医療特約は9割、ガン特約は6割が加入
次に入っている保険と特約の種類です。これは生命保険全体ではなく、民間生命保険会社のみのデータです。
- 医療保険/特約の世帯加入率は91.7%
- ガン保険/特約の世帯加入率は60.7%
- ガン保険の入院時の1日当たりの給付金は、世帯主が12,000円、配偶者は10,200円
医療とガン以外の特約の加入率は、過半数以下です。ガン保険は、もっと加入率が高いと思っていましたが、6割に留まっています。この2つ以外の特約は、4割前後の加入率に留まっています。
個人年金保険は年に100万円の契約
次に個人年金保険です。老後の生活資金を増やすための保険です。
- 個人年金保険の世帯加入率は21.4%
- 個人年金保険の年金額は世帯全体で年間101万円
- 個人年金保険の世帯全体の掛金は年間17.9万円
個人年金保険に加入しているのは、21.4%の世帯に留まっています。医療保障と死亡保障の掛金を支払った上に、年金にまで手が回る人は少ないのでしょう。
加入している保険から支給される年金は、年に100万円。そのための掛金は年に約18万円です。
- 老後の生活資金は、60~64歳の間は月に20.1万円、65歳以降では16.0万円と想定
この金額は、公的年金以外に必要と考えている金額です。厚生年金では、夫婦のモデルで月に22万円と想定されていますから、38万円~42万円ぐらいと考えているようです。
残された家族に必要な生活資金は5,653万円と想定
ここからは、加入者の意識についての調査になります。
- 世帯主に万一のことがあった場合、残された家族に必要な生活資金は5,653万円
- 世帯主または配偶者が要介護状態になった場合に必要な資金は3,308万円
万一のことがあった場合は、年間328万円の資金が、16.8年分必要という計算です。5,653万円という総額は、世帯年収の9.5年分に相当します。
要介護状態になった場合は、初期費用が252万円、月々16.8万円が14年1カ月で、総額が3,308万円と想定しています。
これだけの費用は、生命保険などの私的保障だけではカバーできません。8割以上の人が、生活保障の準備は、公的保障と私的保障の両方が必要と自覚しています。
必要な保険金額は自分でも考えよう
この調査によれば、民間生命保険会社の保険に加入した際の経路は、「生命保険会社の営業職員」が59.4%、「保険代理店」が13.7%、「通信販売」が5.6%となっています。
生命保険は、掛金が月払いなので、あまり意識されませんが、意外なほど高額な商品です。例えば、保険の掛金として月に3万円を払っていれば、総額の支払いは、1年に36万円、10年間で360万円、20年間で720万円に達します。
生命保険は自分を含めた家族を守るための手段です。そのため、将来に対して万全の保障を求めていくと、どんどん不安要素が増えて、保険金額や特約がふくらんでしまいます。
加入するときは、必要十分な保障を、無理のない支払いで得られるようにバランスを考えましょう。