差額ベッド代の平均は1日6,129円。最高は37万8千円
入院時に負担となる差額ベッド代
病気や事故などで病院に入院したときに、治療費とは別に病室の費用を請求されることがあります。これを「差額ベッド代」と呼びます。
差額ベッド代は、「特別療養環境室」と呼ばれる病室に入院している場合にかかる費用です。差額ベッド代は、健康保険や高額療養費制度の対象外なので、自分で全額を負担することになります。
入院した際に、一番大きな負担になることも珍しくない差額ベッド代について、もう少し調べてみましょう。
差額ベッド代の平均は1日6,129円
厚生労働省の資料によれば、2014年7月の時点で、全国の差額ベッドは約26万床あります。これは、全ベッド数の19.3%にあたります。つまり、差額ベッドは全体の1/5しかありません。
差額ベッド代の平均は1日6,129円でした。1カ月入院すると差額ベッド代は約18万円になります。
また、差額ベッド代の最低金額は1日100円、最高価格は1日378,000円でした。最高価格の部屋に1カ月入院すると1,134万円に達します。
日本の保険制度には高額療養費制度があるため、純粋な医療費の自己負担額は、一般的な収入の場合で月に約8万円が上限になります。
しかし、差額ベッド代は病院が決定できるので上限がありません。差額ベッドへの入院が長期化すると、治療費よりも差額ベッド代の方が高くなるのです。
差額ベッドは個室が65%以上
差額ベッドで1番多いのは、個室(1人部屋)で、差額ベッドの約65%を占めます。差額ベッド代の平均は1日7,812円です。
なお、数が多いこともあって、差額ベッドといえば個室のイメージが強いのですが、4人部屋でも差額ベッド代がかかる場合があります。
差額ベッドである「特別療養環境室」の条件は次の4項目で、4人部屋でも対象となるのです。
- 病室の病床数は4床以下であること。
- 病室の面積は1人当たり6.4平方m以上(2坪弱)であること。
- 病床のプライバシーを確保するための設備があること。
- 少なくとも「個人用の私物の収納設備」、「個人用の照明」、「小机等及び椅子」の設備があること。
2~4人部屋の差額ベッド代の平均は、2人部屋が3,130円、3人部屋が2,878円、4人部屋が2,509円となっています。
差額ベッドへの入院は患者の同意が必要
差額ベッド室へ入院する際は、病院から患者への説明と、患者の同意が必要です。多くの場合、同意を確認するために同意書へのサインが求められます。
また、患者の治療上の必要により差額ベッド室に入院した場合や、病棟管理の必要性等から差額ベッド室に入院させた場合は、患者の選択ではないとみなされ、差額ベッド代を請求してはならないことになっています。
病院からの差額ベッド代の請求に不服がある場合は、各都道府県庁の保健医療部や、厚生労働省の支部である地方厚生局などに相談できます。
なお、差額ベッド代の助成は稀ですが、千葉県成田市の後期高齢者医療制度では、1日1,000円の助成があります。
差額ベッドは全体の19%だが
先に見たように、差額ベッドは全体の19%しかありません。さらに実際の稼働率は、もっと低いという調査もあります。つまり8割以上の入院患者は差額ベッドを使わずに退院しています。差額ベッド代は必ずかかる経費ではありません。
しかし、長期の入院では、プライバシーやメンタルの問題で、大部屋での生活に耐えられず個室へ移りたい場合があります。また、病気が終末期を迎えた場合なども、個室へ移って身内だけで過ごす方が良いでしょう。
ご自分の性格と病状も考慮に入れて、いざというときには差額ベッド代がまかなえるように、保険や貯蓄などで準備をしておきましょう。