手の震えを打ち消すスタビライザースプーン「リフトウェア」

[2015/11/10 00:01]

手の震えを打ち消すスプーン

10月1日に発売された「リフトウェア」は、ちょっと変わったスプーンです。

このスプーンは、老化や病気で手が震える症状をお持ちの方でも、自分の手でスプーンを持って食事ができることを目的としています。

リフトウェアの本体には、モーターとセンサー、マイコンが内蔵されています。センサーが上下左右の揺れを感知すると、それを打ち消す動きをモーターが行ないます。

これにより、腕全体が震えていても、スプーンの部分の揺れが抑えられ、食べ物が落ちにくくなります。カタログでは、手の震えを70%軽減するとしています。動作の様子は、記事末にある動画のリンク先をご覧ください。

電源は充電池で、付属のUSBケーブルとUSBアダプタを使います。充電器には、リフトウェア本体を立てて置けるようになっています。電動歯ブラシやガラケーの充電器と同じと言えばわかりやすいでしょう。

充電池の容量は、1回の充電で、3~6 回の食事に使用できるとしています。

リフトウェアは、Googleが展開している商品で、国内ではフランスベッドが扱います。フランスベッドは福祉機器も多く扱っており、この分野には長い経験があります。なかなか良いコンビと言えるでしょう。

国内での販売価格は、税込で47,520円です。福祉機器としてはがんばった価格なのですが、介護保険などの対象ではなく、全額自己負担なのがつらいところです。

独特のユーザーインターフェイス

こういう商品は、やはり専門家に見ていただきたいので、老人保健施設にお勤めの方にお預けして見ていただきました。

実際に入居者の方にも試していただいたそうですが、リフトウェアの機能については、効果を感じるという御意見でした。有効な方には、かなり有効だったそうです。

ただ、最初に触っていただくまでが大変だったようです。入居者の皆さんも、新しい物への関心はお持ちなのですが、見慣れない上に、モーターの動作音がする機器は、壊してしまいそうで怖いのです。

また、ユーザーインターフェイスには疑問を示していらっしゃいました。リフトウェアには電源スイッチがなく、本体にスプーンを合体させると電源がONになります。また、リフトウェアを一時止めたいときは、本体を裏返してテーブルに置くと一時停止します。しかし、両方ともそれをあらかじめ知っていないと直感的にはわかりません。やはり、大きいスライドスイッチが付いていた方が、わかりやすいとおっしゃっていました。

機能が明示的ではなく、隠されている。その隠されている操作方法を知っていると、うまく使えるというインターフェイスは、スマホなどにも通じるところがあります。Googleらしいというか、IT機器っぽいインターフェイスと言えます。

購入前に事前のテストを

リフトウェアは、秀逸なコンセプトと高い技術が盛り込まれた、大変面白い製品です。

ただ、そのコンセプトに共感して、親御さんのもとに宅配便で送りつけても、それだけで使ってもらうのは難しいでしょう。

最低でも、親御さんが使っている普通の歯ブラシを、電動歯ブラシに替えてもらうぐらいの難易度は覚悟しましょう。

少なくとも、持参して、荷解きをして、充電器の設置まで面倒を見て、1回は一緒に食事をしないと使ってもらえないと思います。

また、リフトウェアは、有効な人には有効ですが、万能ではありません。

リフトウェアが効果的かどうかチェックできるシートがPDFで用意されていますから、それをプリントアウトして、親御さんと一緒に試してみましょう。購入するのは、そのテストが終わってからでも遅くありません。

高価な製品ですから、購入前には、必ずお使いになるご本人と相談することをお勧めします。まず、一緒に、動画を見て機能を説明してあげてください。

[シニアガイド編集部]