3年だけでも納付していれば12万円支給される国保の「死亡一時金」
意外と多くの人が対象者
国民年金の第一号被保険者として、保険料を3年(36カ月)以上納めた人が、何の年金も受けないで死亡したとき、その遺族には「死亡一時金」が支給されます。
支給される「死亡一時金」は、保険料を納めた期間によって金額が変わります。
- 第1号被保険者としての納付済期間 金額
- 3年以上15年未満 12万円
- 15年以上20年未満 14万5千円
- 20年以上25年未満 17万円
- 25年以上30年未満 22万円
- 30年以上35年未満 27万円
- 35年以上 32万円
付加保険料を3年以上納めていた場合は、上記の金額にそれぞれ8,500円が加算されます。
死亡一時金の支給対象は、生計を同一にしていた遺族1名で、配偶者に限定されていません。支払対象の優先順位は、配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹の順です。
死亡一時金は、亡くなられた時点で第一号被保険者(自営業や学生)でなくても、過去に第一号被保険者として支払った実績があれば支給されます。
現在、第二号被保険者(会社員)や、第三号被保険者(扶養配偶者)であっても関係のある制度なのです。
とくに、1991年4月以降は、20歳以上は国民年金に強制加入になっています。そのため、20歳になってから会社に就職するまでの2~3年間は第一号被保険者だった人が多いのです。
この期間だけでは足りなくても、フリーターで働いた期間があったり、転職時に一時的に第一号被保険者に戻っていると、合計した納付済み期間が3年以上になっていることがあります。
なお、よくある間違いですが、扶養配偶者として第三号被保険者になっている期間は、死亡一時金の資格を取得する期間には入りません。
死亡一時金の対象となるのは、「第一号被保険者としての納付期間」のみです。
死亡から2年以内に手続きが必要
死亡一時金には次のような注意事項があります。
- 遺族が遺族基礎年金を受けることができる場合は、死亡一時金は受け取れません。
- 遺族が死亡一時金と寡婦年金の両方を受けることができるときは、いずれか一方を選択することとなります。
- 遺族が死亡一時金と遺族厚生年金の両方を受けることができるときは、両方とも受け取ることができます。
- 亡くなった日から2年経過後は、請求ができなくなります。
もともと、故人が若かったり、年金の納付期間が短いと、年金関係の手続きは忘れられがちです。請求期間は2年だけなので、注意してください。
年金からは何も出ないと思い込まず、とりあえず年金手帳を手元に準備して、年金事務所の「ねんきんダイヤル」に電話してみましょう。
せっかく納めた年金保険料ですから、せめて死亡一時金はもらい忘れがないようにしましょう。それが、故人が積み立ててきた年金の記録を生かすことになるのです。