国民年金の保険料をずっと払ってこなかった人が、少しでもモトを取る方法

[2017/10/23 00:00]

いまさら払っても、払い損になるとは限らない

国民年金への加入と保険料の支払いは、国民の義務です。

とはいえ、「もう50代に入っていて、これから保険料を払っても、老後に年金がもらえないから払わない」という人もいます。

それは老後に年金をもらうためには「最低納付期間」という足切りがあるからです。

しかし、いろいろと手はありますし、制度も変わります。今回は、少しでもモトを取る方法を考えてみましょう。

老齢基礎年金には足切りがある

国民年金のうち、老後に貰えるのは「老齢基礎年金」という制度です。

老齢基礎年金は、「満20歳から満60歳まで40年間保険料を納める」ことになっています。この40年間のうち、「10年以上」納めている必要があるのです。

たとえば、9年11カ月納めていても、この「最低納付期間」という足切りより短ければ、年金は1円も出ません。

足切り期間が短縮される

最低納付期間のような足切り期間は、2017年に「25年」から「10年」に短縮されたばかりです。

25年では、50代からあわてても間に合いませんが、10年なら50歳からでも間に合います。

まずは、「10年」の納付期間が、目指す目標になります。

10年間収めると年金が貰えるようになる

では、10年間保険料を払うと、いくら年金が貰えるのか試算してみましょう。ついでに納付期間が5年ごとの金額も計算してみます。


    納付期間 年間支給額 月額に換算した額
    40年 779,300円 64,942円
    35年 681,888円 56,824円
    30年 584,475円 48,706円
    25年 487,063円 40,589円
    20年 389,650円 32,471円
    15年 292,238円 24,353円
    10年 194,825円 16,235円

というわけで、10年間年金を納めていると、月に16,235円もらえます。

これだけではとても生活できる金額ではありませんが、食費や光熱費の足しにはなります。

老齢基礎年金は、死ぬまで出ますから、金額は小さくても、無いよりは有る方がずっと良いのです。

10年も無理なら、3年を目指す

「10年でも届きそうもないし、自分の分はいらないから」という人は、納付期間「3年」を目指しましょう。

国民年金の保険料を納めた期間が3年以上あり、年金をもらっていない加入者が死亡すると、遺族に「死亡一時金」が支払われます。

死亡一時金の金額は、保険料を納めた期間が「3年以上15年未満」の場合で12万円です。

例えば、あと数カ月で納付期間が3年になるのであれば、その数カ月分の保険料で12万円の死亡保険に入ったことになります。

いった納めた保険料は返ってこないのですから、せめて死亡一時金が貰えるように保険料は3年以上払い込みましょう。

なお、死亡一時金を貰うために必要な期間は、第一号被保険者(自営業、学生)として年金保険料を払った期間に限定されています。

第二号被保険者(会社員)や、第三号被保険者(主に専業主婦)の期間はカウントされません。注意してください。

未納は不利。免除を目指そう

さて、老齢基礎年金の場合は、ここまで紹介したように、10年未満の納付でもなんとかなる救済手段があります。

しかし、国民年金には、老齢基礎年金以外にも機能があります。

1つは、「障害基礎年金」で、事故や病気による後遺障害が残った際に給付されます。年額は障害の内容によって異なりますが、1級で「974,125円」、2級で「779,300円」です。

もう1つ、「遺族基礎年金」があります。18歳未満の子がある配偶者に給付されます。年額は、妻の分が「779,300円」、子供が2人目まで「224,300円」です。

つまり、18歳未満の子供が1人いれば、年に100万円ぐらい遺族基礎年金が貰えます。

この2つの年金は、一定以上の未納期間があるともらえません。

ただし、国民年金の保険料を払わないで「未納」にしている理由が経済的なものであれば、「免除」という救済処置があります。

「免除」になると、「未納」よりはずっと有利ですから、市区町村の窓口などで相談してください。
「免除」になっていれば、万一のときに、障害基礎年金や遺族基礎年金を貰うようにすることができます。ぜひ、自分の収入を確認してみてください。

【お知らせ】この記事は、2017年10月23日付でデータを更新しました。

[シニアガイド編集部]