患者の負担が1割と軽い「後期高齢者医療制度」

[2015/12/1 00:01]

自己負担1割が最大の特徴

75歳以上の国民が全員加入する「後期高齢者医療制度」は、発足時の騒動のおかげで悪い印象を持たれ勝ちです。

しかし、医療費の給付を受ける立場から見ると、自己負担分が軽く、医療を受けやすい制度となっています。今回は、被保険者側から、どんな制度なのか見ていきましょう。

後期高齢者医療制度を利用して医療を受ける際の、最大の特徴は「医療費の自己負担が原則1割」ということです。

現役世代向けの国保や社保が原則3割負担なのに対し、その3分の1の負担で医療が受けられるのです。

年収145万円以上で現役並み所得と認定

後期高齢者医療制度でも、現役世代並みの収入があり収入制限を越えた場合は3割負担となりますが、そうした後期高齢者は1割弱しかいません。大半の被保険者は1割負担で済みます。

「現役並み所得者」の判定基準は、住民税課税所得が145万円以上あることです。

しかし、収入が145万円以上であっても、「世帯の被保険者全員の収入の合計額が520万円未満、世帯の被保険者が1人の場合は383万円未満である場合は1割負担」と言う条件があるので、1割負担に判定される人が多いのです。

高額療養費制度は国保並み

後期高齢者医療制度にも1カ月当たりの医療費には上限がある「高額療養費制度」が用意されています。

高額療養費制度の設定は、国民健康保険の70歳以上の設定と同じです。

ただし、もともと自己負担比率が低いので、高額療養費制度が必要になる場合は少なくなっています。

さらに、住民税が非課税の世帯は「区分 I」または「区分II」として、高額療養費制度の自己負担分が少なくなっています。世帯全員が年金収入80万円以下だと区分I、それ以外が区分IIとなります。

各区分の比率は、「現役並み」が1割弱、「一般」が5割強、「区分I」と「区分II」がそれぞれ2割ぐらいとなっています。

「限度額適用・標準負担額減額認定証」があり、これを提示することで、高額療養費制度の範囲だけ負担すれば良いのも、国保や社保と同じです。


    通院(個人単位) 通院+入院(世帯単位)
  • 現役並み所得者 44,400円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%【多数該当時は44,400円】
  • 一般 12,000円 44,400円
  • 区分II 8,000円 24,600円
  • 区分I 8,000円 15,000円

75歳以上になると医療費の負担は軽くなる

後期高齢者医療制度は、被保険者側から見ると、自己負担比率が1割と低く、ありがたみのある制度です。

また、長期入院や手術で、高額療養費制度を利用する場合も、過半数を占める「一般」区分であれば、月額44,400円が上限となります。

これは、3割負担で、高額療養費制度の上限が8万円+αである現役世代に比べて、医療費の負担が軽くなるという意味です。

老後の最大の不安の1つは、医療費の支払いができなくなることです。しかし、後期高齢者医療制度によって、大半の人は現役世代の3分の1の負担ですみます。高額療養費制度を利用した場合でも、自己負担は約半分です。

たぶん、現役世代のうちに心配しているよりも、現行の後期高齢者医療制度のもとでは医療費の負担は軽くなっています。親や自分の老後資金を計算する際に、頭の隅に入れておきましょう。

[シニアガイド編集部]