未納だった国民年金保険料を5年分払うと、税金が9万円安くなる
【お知らせ】この記事で書かれている、過去5年間分の後納制度は、2018年10月で終了しました。2018年10月からは、直近の2年分しか納めることができません。
未納だった国民年金を後納するメリット
国民年金には、未納だった期間の保険料を納めることができる「後納」という制度があります。
通常は、後納できる期間は2年間ですが、2018年までの期限付きで5年間分を後納することができます。
たとえば、今年は収入が多めで余裕があるので、5年分を後納したとします。
これによって何が変わるのでしょう?
- 今年の所得税が9万円安くなる
- 将来の年金額が、年に97,500円増える
- 障害年金や遺族年金をもらえる資格が得やすくなる
- 将来的に老齢年金をもらう資格が得やすくなる
この4つのメリットについて、1つずつ見ていきましょう。
所得税が9万円安くなる
まず、5年分の国民年金保険料を計算してみましょう。
国民年金の保険料は、月額15,590円ですから、5年分の保険料は、15,590×12×5=935,400≒約93万円です。
これを全額一括で払ったとしましょう。
支払った保険料は全額が「社会保険料控除」として計上できます。
手続きは簡単で、確定申告の際に、書類の「社会保険料控除」の欄に金額を記入し、後納した保険料の領収証書申告書を添えるだけですみます。
確定申告をすると、税金を計算する基礎となる「課税される所得金額」が約93万円減りますから、一般的な税率の10%で約9万円も所得税が安くなります。
収入が多くて、税率が高い人ならば、さらに税金が安くなります。
また、確定申告した所得額は住民税の計算にも使われますので、住民税も安くなります。
将来の年金額が年に97,500円高くなる
5年分の保険料を払うと、将来の年金額が上がります。
1カ月分の保険料を払うと、将来の年金額が年額で1,625円上がります。
つまり、5年分(60カ月)の保険料を払うと、将来の年金は、年額で97,500円上がります。
小さい金額に見えますが、年金は10年単位でもらいます。20年もらえば、年金の総額が195万円増える計算になります。
障害年金や遺族年金をもらえる資格が得やすくなる
国民年金には、65歳になってからもらえる「老齢基礎年金」のほかに、身体に障害を負った際にもらえる「障害基礎年金」と、死亡した際に遺族に支払われる「遺族基礎年金」があります。
しかし、「障害基礎年金」や「遺族基礎年金」を支給されるためには、「公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること」という条件があります。
これまでの納付状況にもよりますが、後納することで、万一の際に最低限の年金がもらえる資格が得やすくなります。
将来的に老齢年金をもらう資格が得やすくなる
現在、老齢基礎年金を受給するためには、25年間以上保険料を納付または免除されていることが必要です。
しかし、2017年に、この期間が10年間に短縮されます。
5年分の保険料を後納すれば、あと5年分の保険料を納めることで、将来年金が受け取れます。
なお、老齢基礎年金の年金額は、納付期間に比例します。10年間だけ納付した場合の年金額を推計すると、月に16,252円、年額で195,025円です。生活の柱にはなりませんが、光熱費ぐらいにはなる金額です。
本当に家計が苦しかったら免除を
ここでは、未納だった国民年金保険料を後納する場合を考えましたが、本当に家計が苦しく保険料が支払えない場合は、保険料を「免除」する手続きをしましょう。
免除が認められれば、その期間は年金を受給するために必要な期間として計算されます。また、老齢基礎年金も全額ではありませんが、税金で負担している半分がもらえます。
国民年金については、後納や免除など、いろいろな制度が用意されています。「未納」のままにしておくのはもったいないので、市区町村や日本年金機構の窓口に相談してみましょう。