シニアの住宅を借り上げて賃貸収入を保障してくれる「マイホーム借上げ制度」

[2015/12/14 00:00]

自宅を売らずに借り上げてもらう制度

子供が独立して夫婦二人の生活になるなどの変化があると、自分たちのライフスタイルと、住んでいる持ち家とが合わなくなってきます。しかし、自分の財産である持ち家を手放すことは、心情的にもなかなか難しいことです。

そういう時に便利なのが、一般社団法人 移住・住かえ支援機構(JTI)の「マイホーム借上げ制度」です。

オーナーは、自宅を借り上げてもらい、自分の今のライフスタイルに合った家へ転居することができます。

たとえば、「転勤先で自宅を購入したが、老後は東京に戻りたい」「老後は田舎暮らしをしたいが、いま住んでいる家をすぐに手放すのは心配」という場合にも、自宅を手放さずに新しい生活設計ができます。

この「マイホーム借上げ制度」は、50歳以上のシニアが所有する家屋を借上げて賃借人に貸し出し、安定した賃料収入を保証する制度です。借り上げ期間は終身が基本ですが、3年単位で期間を指定することもできます。

対象となるエリアは全国で、家屋は一戸建てだけでなくマンションも対象となります。

「マイホーム借上げ制度」のメリット

JTIが設定する賃料は、周辺相場の80%~90%を目安とされ、そこから15%を差し引いた金額が制度利用者の手取りになります。

15%の内、5%は機構の物件を管理する協賛事業者への管理費用、10%は空室時の保証準備積立と機構の運営費となります。
「マイホーム借上げ制度」を利用すると、自分で貸し出す場合よりも手取りは少なめですが、空き家となっても最低保証賃料が支払われます。空いている家やライフスタイルに合わなくなった家を活用して、安定した生活資金を得ることができます。

また、JTIが借り上げて、賃借人に貸し出すため、賃借人の家賃滞納や居座りなどのトラブルに悩まされずにすむというメリットもあります。

「マイホーム借上げ制度」により、オーナーは自宅を売却することなく、住みかえや老後の資金として活用することができます。また、家を借りたい人には、敷金や礼金がない優良な住宅が安価に提供されます。

自宅を手放したり賃貸に出したいと思っても、いろいろな面倒があり、実際にはなかなか難しいことがあります。

「マイホーム借上げ制度」を利用すると「自宅を手放さなくて良い」「公共性のある団体が仲介することでリスクが避けられる」というメリットがあります。

自宅の活用に迷ったときには、検討する価値のある方法の1つです。

さらに、JTIの協賛事業者の中には、自宅を借り上げてもらったあとに住む家を紹介する事業を行なっている例もあります。こういう業者を利用すると、借り上げと次の住居との確保が同時にできるので住み替えやすいというメリットがあります。

ローンの支払いが困難なときに使える「再起支援借上げ制度」

なお、JTIには住宅ローンの支払いが苦しくなった人のために「再起支援借上げ制度」も用意されています。

これは、「マイホーム借上げ制度」を利用してローン支払い中の自宅を借り上げてもらい、家賃をローン返済に充てる制度です。借り上げたマイホームは3年の定期借家契約で貸し出しますので、家計の状況が改善したら3年後には家に戻ることができます。

この制度を利用する場合は、50歳という年齢制限はありません。

[シニアガイド編集部]