60歳の定年後も同じ会社で働き続けたら、どんな雇用条件になるのか
定年後もいまの会社で働き続けた場合をイメージしてみる
年金が支給される年齢が65歳になったこともあり、「せめて年金がもらえるまでは働き続けたい」と、お考えの方も多いでしょう。
しかし、現在在籍している、この会社で働き続けるとして、どういう雇用形態で、どんな仕事をして、どれぐらいお金がもらえるのか、イメージできている方は少ないようです。
今回は、公益財団法人 日本生産性本部が2014年に発表した「日本的雇用・人事の変容に関する調査」のデータをもとにして、「60歳超雇用への取り組みの実態」を見てみましょう。
この調査は、上場企業に調査票を送る形で行なわれたもので、上場企業172社から回答を得ています。
同じ会社に居ても、同じ雇用形態ではない
まず、「60歳以降の雇用延長への対応は、どのように行ないますか」という設問に対し、95.3%の会社が「再雇用制度で対応」としています。「定年年齢の引き上げ」は、わずか3.5%に留まっています。
つまり、ほとんどの場合は、60歳で定年になり、改めて雇用契約を結ぶ形になります。
ちなみに、厚生労働省のQ&Aによれば、継続雇用制度のもとで継続雇用される場合は、嘱託やパートなどに労働条件を変更することが可能です。また、1年ごとに雇用契約を更新する契約形態も可能です。
定年前の正社員待遇とは異なる雇用関係になることを覚悟しておきましょう。
賃金は、再雇用後の仕事内容によって変わる
また、「再雇用者の賃金設定根拠」の今後について、「再雇用後に担当する役割」が一番多く、「再雇用前の賃金」「再雇用前の役割」の順となっています。
つまり、定年前の役職や仕事内容に左右されず、再雇用後の仕事の内容によって賃金が決まるという制度になると思いましょう。
では、どのように賃金が設定されるかを見てみましょう。
「再雇用者の賃金水準設定」の今後については、「いくつかの定額水準で設定」が一番多く、過半数となっています。
定額水準の数については、3パターンないし、4パターンという回答が多くなっています。
この調査では、具体的な定額水準の金額は回答されていませんが、このパターンの数から見ても、あまり高額な給与は支給されず、かなりフラットで平等な賃金に設定されている可能性が高いでしょう。
定年前に、給与が高かった人ほど、再雇用後の賃金に不満を抱く場面が出てきそうです。
「職場に必要とされる人材であり続ける」
2013年に改正高年齢者雇用安定法(改正法)が施行され、事業主に定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の高年齢者雇用確保措置を講じることを義務付けています。
しかし、ホンダのように60歳から65歳への定年延長方針を明らかにしている企業は、まだ少数派です。ほとんどの企業は、現役世代への給与水準なども含めて、とりあえず60歳定年制を維持しつつ、人事制度全体を再検討している時期といえるでしょう。
65歳まで働き続ける意志のある方は、いま在籍している会社の人事制度、とくに継続雇用制度の内容について、常に関心を持ち続けましょう。また、基本的な態度として「年齢に関わらず、職場に必要とされる人材であり続ける」ことを心がけましょう。