持ち家がある60代でも、4割以上が老後生活に悲観的
持ち家があっても、老後は苦しい?
持ち家がある60代の4割以上が、今後の生活について「ぎりぎりの生活」または「生活できない」という悲観的な見込みでいることがわかりました。
この調査は、東京スター銀行がインターネット上で行なったもので、60歳~69歳の男女500人の回答をまとめています。
調査対象の男女には、「自身/配偶者名義の持ち家を保有、かつ長子が30歳~49歳」という条件が付けられており、一般的には恵まれた環境にあるといえます。
しかし、「リタイア後の人生において現在の貯え(資産)とこれからの収入(年金含む)でどのような生活になると感じられますか」という質問に対して、次のような回答となっています。
- 余裕のある生活 8.8%
- そこそこの生活 47.6%
- ぎりぎりの生活 38.0%
- 生活できない 5.6%
過半数の人は「余裕がある」か「そこそこ」の生活ができると見込んでいますが、「ぎりぎり」または「生活できない」と暗い展望を持っている人も4割を越えています。
また、「自宅を始めとする資産を、誰のために使いたいか」という質問に対し、9割近くの人が「自分」か「夫婦」のために使うと回答しています。つまり、子供世代に相続せず、親世代で使いたいという意見です。
- 自分のため 23.2%
- 夫婦のため 63.8%
- 子供のため 7.4%
- その他 5.6%
子供も親の資産をあてにしていない
今度は、親が持ち家を保有している30歳~49歳の男女500人に「親の資産をあてにしているか」と聞いたところ、「あてにしている」は3割、「あてにしていない」は7割でした。
- 非常にあてにしている 6.2%
- ややあてにしている 24.2%
- あまりあてにしていない 42.8%
- 全くあてにしていない 26.8%
さらに、「親の不動産を子は引き継ぐべきか」という質問に対しては、「そう思う」と「そう思わない」が、ほぼ半々になっています。
子供のほうでも、親の不動産を絶対に相続したいという気持ちは、絶対的なものではないようです。
- とてもそう思う 9.6%
- ややそう思う 40.2%
- あまりそう思わない 38.4%
- 全くそう思わない 11.8%
親も子も、相続資産より自立を重視
アンケートの結果をまとめると、親も子も、親子間で資産を相続することにあまり重きを置いていないことがわかります。
別の設問では、「自分達の資産は子どもに残さず、自分達自身で自由に使いたい。その代わり、老後のことは子どもに頼らず自分自身で解決する」という考え方に賛成している親が8割いました。
同様に「親の資産は親自身が自由に使ってもらってかまわないので、その代わり老後のことは親自身で解決してほしい」という考え方に賛成している子供も7割以上います。
相続する資産を残すことよりも、親は親で自分の面倒を見て、子供に手間をかけさせない方の方が重要だという価値観は、親子の両世代で共通していると見てよいでしょう。
ここ数年、手持ちの不動産を担保にして老後の資金を貸し付ける「リバースモーゲージ」を扱う金融機関が増えていますが、このような価値観が広がれば、親世代がリバースモーゲージを利用できる場面も増えてくるでしょう。