子育てと親の介護が同時期に発生する「ダブルケア」の実情
子育てと親の介護が同時にのしかかる
子育てと介護に同時に携わる「ダブルケア」状況に関する調査結果が発表されています。
「ダブルケア」は、英国ブリストル大学 山下順子講師と横浜国立大学 相馬直子准教授による造語で、主に「子育てと親の介護が同時期に発生する状況」を指します。
晩婚化と出産年齢の高齢化によって、ダブルケア状況に陥るケースが増えており、調査やサポート体制づくりが始まっています。
今回は、ソニー生命保険と共同でインターネット上で調査を行ない、全国の大学生以下の子どもを持つ母親1,000人のサンプルを集めています。
「ダブルケア」経験者は8.2%
まず、「ダブルケアとは『子育てと親・義親の介護が同時期に発生する状況』である」と説明し、自身のダブルケアの状況について聞いたところ、過去または現在にダブルケアを経験している人は8.2%でした。
「数年先にダブルケアに直面する」と合計すると22.6%となります。
年代別では、「ダブルケアを経験した」は50代が、「数年先にダブルケアに直面する」は30代が多くなっています。
「ダブルケア」はしんどい
ダブルケアに直面したことがある82名に負担の程度を聞いたところ、「負担である」40.2%、「どちらかといえば負担である」47.6%でした。大多数のダブルケア経験者が負担を感じています。
心も体もお金もしんどい
ダブルケアに直面したことがある82名に、何が負担か聞いたところ、「精神的にしんどい」が最も多く、「体力的にしんどい」「経済的負担」も、高い比率で続きます。何か1つがつらいのではなく、心も体もお金の面でも負担がかかることがわかります。
支えてくれるのは夫だが...。
ダブルケアに直面したことがある82名に、大変な時に支えてくれた人はだれか複数回答で聞いたところ、「夫(パートナー)」が最も多く、次いで、「親・義理の親」と「ケアマネージャー」、「親戚」、「友人」などが続きます。
しかし、複数回答なのに、一番多い「夫」でも41.5%に留まっており、なかなか支えてくれる人がいない状況が推測されます。
それを裏付けるように「「支えてくれた人はいない(いなかった)」も15.9%あり、孤立している状況が伺えます。
「ダブルケア」という言葉の周知はこれから
この調査では、回答者の1,000人に「ダブルケアという言葉を聞いたことがあるか」を聞いていますが、「ある」8.1%、「ない」91.9%でした。ダブルケア経験者でも、「ダブルケア」という言葉を知っていた人は20.7%に留まっており、言葉の普及はこれからと言えそうです。
まずは、介護と育児を同時に抱えるという大変な状況があるということを周知するためにも、言葉を普及させる必要があるでしょう。研究者も「言葉があることは、その実態を認知し、社会全体の問題としていくために、とても大事です。」というコメントを寄せています。