急増している老人ホーム「サ高住」の特徴と選び方
たった数年で14万人分できた「サ高住」
「サービス付き高齢者向け住宅」略して「サ高住」は、老人ホームの一種です。
「サ高住」という制度は、2011年にできたばかりですが、2014年には14万人分が登録されており、他の老人ホームを圧倒する勢いで急増しています。
老人ホームを探している人にとっては、すでに無視できない規模となっており、選択肢として検討する必要があります。
では、人気のサ高住とは、どういう施設で、どういう特徴があるのでしょう。厚労省の実態調査資料をもとに見ていきましょう。図版類も厚労省の資料を使用しています。
サ高住の目的
サ高住は、一言で言えば「高齢者を支えるサービスを提供するバリアフリー構造の住宅」を指します。
ただし、サービスの内容は限定されており、ある程度以上の介護は、介護保険を利用して外部の業者のサービスを利用します。
老人ホーム内で介護サービスを提供する「介護付有料老人ホーム」とは、この点が異なります。
サ高住の条件
サ高住を名乗るには、「登録」が必要で、そのための基準が設けられています。
特に「バリアフリー」と「サービスの提供」が2本柱です。
- 住宅:床面積(原則25平方m以上)、便所・洗面設備等の設置、バリアフリー
- サービス:サービスを提供すること(少なくとも安否確認・生活相談サービスを提供)
- 契約:高齢者の居住の安定が図られた契約であること。前払家賃等の返還ルール及び保全措置が講じられていること
どんな人が入っているのか
2015年に行なわれた「サ高住」の入居実態の調査があります。
それによれば、サ高住入居者の特徴は次の通りです。
- 80代が一番多く5割以上。平均年齢は82.1歳。64歳以下から90歳以上まで幅広い年齢層が入居している
- 要介護度は、自立から要介護5まで幅が広いが、要介護1または2の人が20%弱ぐらいで多い
つまり、自立して一人暮らしをするには不安だが、介護なしに生活できないほどではないという人が多いようです。
入居者の年齢も介護度も幅が広く、それぞれのサ高住によって、いろいろな状況があることが予想されます。
サ高住の運営者
サ高住が急増した理由の1つが、運営側に対する優遇処置があります。
サ高住を建設すると、優先的に補助金や融資が受けられるほか、所得税や固定資産税にも大幅な減税策が用意されています。
サ高住を運営しているのも、介護サービスを行なっている株式会社や有限会社が半数以上を占めています。
これまでの老人ホームは、社会福祉法人や医療法人による運営が多かったので、かなり異なった傾向と言えるでしょう。
サ高住の利用料金
調査によれば、サ高住の月額料金は「約14万円」で、そのうち家賃分は「約6万円」となっています。
しかし、施設による差は大きく、10万円未満から30万円以上まで幅があります。
サ高住を探す時の注意事項
これまで見てきたように、サ高住は、「バリアフリー」や「安否確認と生活相談サービス」などの規定はありますが、運営体制やサービス内容などの規制は弱く、運営体制の幅が広くなっています。
例えば、「要介護5」になっても、サ高住で介護サービスを受けながら暮らせるかどうかは、施設によって異なります。
「サービス付き高齢者向け住宅」という名称だけで安心してしまい、最後まで万全のサービスが受けられると誤解してはいけません。
サ高住を探すときは、まず「サービス付き高齢者向け住宅 情報提供システム」を使いますが、その際には「サービス内容」の項目に注意しましょう。
また、いくつかの候補が決まったら、実際に施設を訪ね、自分の目で状況を確認しましょう。その際には、「どの介護度まで、この施設内で介護や医療のサービスが受けられるのか」「外部の医療機関や介護サービス会社との連携は取れているのか」などを直接確認しましょう。