75歳以上の高齢者に対して「特に慎重な投与を要する薬物」リスト
[2016/2/16 00:00]
高齢者の処方についての2つの薬物リスト
日本老年医学会は、医療従事者に向けて「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を公開しています。
このガイドラインの全体はメジカルビュー社より書籍として刊行されていますが、総論部分だけは日本老年医学会のWebサイトで、PDFファイルとして公開されています。
そして、公開されている総論部分には、「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」と「開始を考慮すべき薬物のリスト」が収録されています。
前提条件を理解した上でチェックしよう
2つのリストは、「高齢者の処方適正化スクリーニングツール」と名付けられており、医師が高齢者の処方とその見直しに利用することを念頭に置いています。
「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」は、自分や家族に処方された薬物を確認するために、一般人にも興味深いものですが、処方されている薬がリストにあっても自分で中断してしまうと、病状が悪化して危険な場合があります。
次の3つの前提条件を確認した上で閲覧しましょう。
- 服用中の薬に不安があっても、自己中断はせず、必ず医師や薬剤師に相談する
- 高齢者でも得に薬物の影響を受けやすい「75歳以上の高齢者」と「75歳未満でもフレイル(要介護状態の前段階)や、要介護状態の高齢者」を対象としている
- 急性期や亜急性期は薬物療法については、医師の裁量の余地が大きいため、1カ月以上の長期投与の場合を対象としている
また、PDFファイルを読む時は、いきなりリストへ飛ぶのではなく、その前提となる文章やリストの使い方も読みましょう。
繰り返しになりますが、処方について疑問や不安があるときは、必ず医師や薬剤師と相談しましょう。医師に任せっきりにしたり、勝手に自己中断したりせずに、担当の医師とコミュニケーションを取ることが、リストを公開した日本老年医学会の真意であると思います。