増加している認知症高齢者の行方不明への対策
毎年増え続ける認知症による行方不明者
認知症を患った高齢者が、家を出て徘徊(はいかい)し、行方不明になる例があります。
警察庁では、行方不明の原因や動機の1つとして「認知症」を挙げており、2012年から認知症による行方不明者の数を公開しています。
認知症が原因となった行方不明者は、2012年に9,607人、2013年に10,322人、2014年に10,783人でした。
認知症が原因の行方不明者は1万人を越えて増え続けており、対策が必要とされています。
なお、行方不明者全体の数は、2014年には81,193人でした。行方不明者の約98%は、1週間以内に所在が確認されて自宅に戻っています。
認知症高齢者への対策
厚労省の調査によれば、2014年4月の時点で、なんらかの徘徊や行方不明に対する対策を行なっている市区町村は1,068市区町村で、市区町村全体(1,741)の約61%に及んでいます。
多くの市区町村で対策事業が行なわれていますので、まず、お住まいの市区町村のホームページで確認してください。
相談窓口としては、各市区町村の窓口か、地域包括支援センターが利用できます。
具体的な行方不明対策として、主に次の3つの事業が行なわれています。
- 「徘徊・見守りSOSネットワーク事業」
- 地域の関係機関等の緊急連絡体制を構築し、行方不明が発生した際に情報をう供給し、連携して捜索活動を行なう(616市区町村)
- 「GPS等徘徊探知システムに関する事業」
- 徘徊のおそれのある認知症高齢者にGPSなどの位置情報システムの端末を持たせる(345市区町村)
- 「その他の事業」
- 在宅高齢者の地域内での孤立防止などを目的とした地域住民のネットワークの構築に主眼を置いた事業など(385市区町村)
また、民間企業からもホームネットの「位置情報提供サービス」のように、GPS機能を利用した専用端末を使って、不明者の位置を家族に知らせるサービスが提供されています。また、GPS端末の持ち歩きを忘れがちな高齢者のために、GPS端末を内蔵した靴も市販されています。
行方不明になった認知症高齢者を探すサイト
現在、厚労省と警察庁に、行方不明者を探すためのサイトが設けられ、地方自治体が把握している行方不明者の情報が掲載されています。
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なお、行方不明者の個人情報をサイトで公開するにあたっては、「個人情報を本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるときは、同意が得られなくても自ら当該情報を利用または提供を行うことができる」旨の個人情報保護条例の規定に基づいて公開されています。ただし、本人の意向などにより、年齢や性別だけの場合もあります。