家族が起こした事故の損害を補償する「個人賠償責任保険」

[2016/3/2 08:00]

自分や家族が原因となった損害賠償を補償する保険

例えば、「家族の誰かが自転車に乗っていて、誰かにケガをさせた」ときに、その損害賠償をしてくれるのが「個人賠償責任保険」です。

この保険の面白いところは、家族も対象になることです。

例えば、夫が加入していれば、「妻が展示されていた高額な食器を割ってしまった」とか「子供が散歩させていた犬が他人にケガをさせてしまった」などの事例も対象となります。

複数の家族が自転車に載っている家庭や、大型犬を飼っている家庭ならば、家族の誰かが加入しておくべきでしょう。

自動車保険などの特約として入る

個人賠償責任保険は、単体の製品としてはほとんどなく、傷害保険や火災保険、自動車保険などの「特約」として用意されています。

単体の製品にすると、保険料が安くなりすぎてしまい、集金の手数料が引き合わないのでしょう。

例えば、ある自動車保険の「個人賠償責任特約」の場合、「国内なら保証料無制限、国外でも1億円」という充実した保障額なのに、月々の特約料は数百円です。

逆に言えば、自動車保険を更新する際に、「個人賠償責任特約」などの名称で用意されている特約に入るのが一番簡単で、金額も少なくてすみます。

また、クレジットカードに付属している傷害保険に、年に数千円の特約料をプラスすることで「個人賠償責任特約」に加入できる場合があります。三井住友VISAカード、JCBカード、イオンカード、セゾンカード、アメリカンエキスプレスなどに例がありますから、お手持ちのクレジットカードのホームページで確認しましょう。

単体で入れる「個人賠償責任共済」

自動車は運転しないし、手持ちのカードにも特約が用意されていない場合は、全労済が運営する「こくみん共済」に「けがと賠償の保障 傷害安心タイプ」という商品があります。

これは、個人賠償責任保険に傷害保険がセットになった商品です。

個人賠償責任保険としては、国内限定で上限1億円まで補償されます。

掛金(保険料)は、月に1,200円のタイプと2,000円のタイプが用意されていますが、違いは傷害保険の内容だけで、個人賠償責任保険の内容は変わりません。

なお、この共済は満60歳までが対象ですが、満80歳までが対象となっている「シニア傷害安心タイプ」に継続加入できます。
シニアタイプになっても、掛金は1,200円と2,000円のままですが、傷害保険の内容が変わります。

2つのチェックポイント

個人賠償責任保険のチェックポイントは、保険でカバーされない「免責事項」と、カバーされる「家族の範囲」です。

さきほどの「こくみん共済」の例で言うと、次のような場合は免責になります。

  1. 同居している親族への賠償
  2. 暴行や暴力による損害
  3. 仕事中に起きた事故
  4. 自分が所有していたり、借りたりしている物を壊した場合
  5. 心神喪失が原因の場合
  6. 自動車、バイクなどの車両、船舶、航空機、銃器などの所有や使用による賠償

また、カバーされる家族の範囲はつぎのように定められています。

『補償される範囲は、次のいずれかに該当する人とします。ただし、責任無能力者は含みません。

  1. 加入者
  2. 加入者の配偶者
  3. 加入者またはその配偶者と生計を一にする、同居の親族
  4. 加入者またはその配偶者と生計を一にする、別居の未婚の子

※加入者とその家族との続柄は、損害の原因となった事故発生時におけるものをいいます。』

「生計を一にする」は、生活費を出していると言う意味です。

例えば、この規定によれば「別居している親」などは保険の対象になりません。

いくつかの損害保険会社では、遠距離介護の対象となる親などをカバーするために規定を変える動きが出ています。

個人賠償責任保険の規定と、自分の家族構成が一致しているかどうかは、必ず確認しておきましょう。

[シニアガイド編集部]