「Yahoo!エンディング」の「生前準備」機能が終了

[2016/3/5 02:12]

「Yahoo!エンディング」の「生前準備」機能が終了

ヤフーは「Yahoo!エンディング」の「生前準備」機能を2016年3月31日で終了すると発表しました。

停止の理由は「サービスの利用状況を鑑み」としており、利用者数が想定より低かったものと推察されます。

Yahoo!エンディングは、人生の最期(ライフエンディング)に係る総合ポータルサービスで、2014年7月14日に開始されました。

「生前準備機能」は、Yahoo!のユーザーが死亡した場合に、メッセージ/Yahoo!ボックスのデータ削除、有料サービスの課金停止、プロフィールとメモリアルスペースなどを行なうサービスです。

Yahoo!エンディングを特徴づけるサービスとして、オープン当初から運営されていました。

また、生前準備機能の停止に伴なって、鎌倉新書の葬儀生前予約、無料会員、メッセージ会員、フルライフ倶楽部の会員制度も停止されます。

なお、「Yahoo!エンディング」で運営されている、葬式の総額見積もりを確認し手配できる「葬儀手配」、全国の霊園・墓地を探す「お墓を探す」、相続税や遺言状などの基礎知識を提供するとともに専門資格者にも依頼できる「相続・遺言」、葬儀に係る「マナーと知識」の4つのコンテンツは継続されます。

死を意識し続けながら生きることは難しい

Yahoo!エンディングの生前準備機能終了で思い出されるのが、よく似たサービスであった「ラストメッセージ」です。

「ラストメッセージ」は2014年3月4日に開始され、2015年2月28日にサービスを終了しました。

ラストメッセージは、毎週配信される生存確認メールへの反応が一定期間滞ると、事前に指定したパートナーに確認を取った上でデータの消去を依頼するというサービスで家族への伝言システムとして「エンディングノート」の役割も果たせるとしており、『インターネット時代における「遺言」を再定義した新しいウェブサービス』と称していました。

こちらも、「目標のユーザー獲得数に届かず事業化のメドが立たなかった事が終了理由」でした。

「ラストメッセージ」を運営していたkitamuraの北村勝利代表取締役社長は、サービス開始時のニュースリリースで次のように述べています。

「ラストメッセージ」はインターネット時代の「遺言」システムであると同時に、「死」を考える事で残りの人生をより良くしていくためのツールです。当サービスを活用する事で(ユーザーは)大きな副産物を得る事が出来ます。それは、一瞬でも「死」を意識する事で、時間の有限さに改めて気づき、現在の「生」を改めて考える機会を与えてくれるという事です。

このメッセージにある「自分が、いつか必ず死ぬことを忘れるな(メメント・モリ)」と言い続ける役割をインターネットサービスが果たそうとする志は有益なものだったと思います。

しかし、人は死を意識し続けながら生きることは難しいのです。

なにかをきっかけとして「死」を意識し準備を始めることはできても、そこに行けば必ず「死」を意識させられるとわかっているサービスにあえて近寄ることは避けてしまうでしょう。

また、現代の老後の不安は「死に近づく」ことではなく、「死に至るまでに長い生を行き抜かなければならない」ということにあるように見えます。

Yahoo!エンディングのサービス縮小は、高齢化が進む社会で求められるサービスとは何かを、改めて考える機会となるでしょう。

[シニアガイド編集部]