故人が好きだった物をお棺に入れてあげられる専用の副葬品

[2016/5/26 00:00]

故人の趣味の用品をお棺に入れてあげたい

葬儀の最後に、祭壇に供えられているお花を、お棺の中に入れてあげるという「お別れ花」というセレモニーがあります。

このときに、亡くなられた方が好きだったからと言って、お花以外のものを副葬品として入れようとされる遺族がいらっしゃいます。

例えば、ゴルフが好きだった方にクラブ、カラオケが好きだった方のマイクを入れようとされるのです。

しかし、クラブやマイクは、カーボンや金属でできているので、お棺に入れることができません。

日常的な用品のほとんどはお棺に入れられない

東京都内で多くの斎場を営んでいる東京博善のサイトには「副葬品について」というページがあります。

まず、「棺にお納めになる副葬品は最小限でお願い致します」という注意があります。

お棺の中に入れて良い物のほうが少なく、最小限にとどめたほうが良いのです。

副葬品を制限する理由として、次の項目が挙げられています。

  • 公害(CO2・ダイオキシン・煙・煤煙・臭気)の発生源となるもの
  • 可燃物であっても燃焼の妨げとなる燃えにくいもの
  • 火葬炉設備の故障原因となるもの
  • ご遺骨損傷の原因となるもの

具体的な物品名としては、次のものが挙げられています。

  • 金属製品(携帯電話、携帯音楽プレイヤー、仏像など)
  • ガラス製品(酒瓶、鏡、食器類など)
  • カーボン製品(杖、釣り竿、ゴルフクラブ、ラケット、竹刀、義肢装具など)
  • 爆発物(缶飲料、化粧品スプレー、ライター、電池類など)
  • 果物(西瓜、メロンなど大きな果物)
  • 書籍(辞書、アルバムなど厚みのある書籍類)
  • 大型繊維製品(衣類の納め過ぎ、大きなぬいぐるみなど)
  • ビニール製品(ハンドバック、靴、玩具など)
  • 化学合成繊維製品(衣類、寝具、敷物など)
  • 発砲スチロール製品(枕、緩衝材パッキンなど)
  • その他(CD、ゴルフボールなど)

つまり、日常的なものについては、ほとんど入れることができないと考えて良いでしょう。

なお、これは一例ですので、地域によって多少の差はあります。

お棺にいれることができる供物がある

故人との最後のお別れに、趣味の用品を入れてあげたいというお気持ちはよくわかります。

そのために、葬儀の際に納棺して火葬できる副葬品が用意されています。

これは、実際の製品を木や紙などでかたどったものです。

たとえば、次のようなものが用意されています。

  • 日本酒、ビール、ワインなどのビンと酒器
  • ゲートボール、ゴルフ、テニス、野球などのスポーツ用品
  • 麻雀牌、釣具、カメラなどの趣味の道具
  • メガネ
  • パソコンのキーボード
  • 化粧品(コスメ)一式
  • 守り刀
日本酒の副葬品の例:仏壇仏具の泉屋
化粧品の副葬品の例:おとやの供養

これらは、あらかじめ葬儀社のスタッフに「副葬品について」と言って相談しておけば取り寄せができます。

これらの副葬品は、葬儀の間は供物として展示しておき、最後にお棺に入れてあげれば良いでしょう。

また、インターネット通販で購入することもできます。副葬品は、「納柩用品」「納棺品」と呼ぶ場合もありますので、それらの言葉で検索してください。

故人の趣味を尊重し、あの世まで一緒に持って行けるようにしてあげたいという意思をお持ちであれば、あらかじめ準備しておきましょう。

また、ご自分で生前に取り寄せをしておき、お棺に入れてもらうように遺言しておくのも良いでしょう。

[シニアガイド編集部]