臓器提供の意思表示をする人の9割は臓器を提供して良いと思っている
臓器移植に関する意識調査
公益社団法人 日本臓器移植ネットワークが「臓器提供の意思表示に関する意識調査」の結果を公開しています。
この調査は、016年3月14日~16日に10代~60代の男女3,000人を対象にして、インターネット上で行なわれました。
ここでは、臓器移植について、一般の人がどのように考えているかについて見ていきます。
なお、図版は調査レポートを基に、編集部で作成しました。
臓器提供の意思表示をしたい人は40.6%
まず、「臓器提供意思表示への態度」を聞いています。
臓器移植に対して肯定的な「既に意思表示をしている」と「意思表示をしてみたい」を合わせると40.6%でした。
臓器移植に対して否定的な「意思表示をしたいとは思わない」人は24.4%です。
「わからない」という人も35.0%います。
意思表示をする人の9割は臓器移植をしても良いと思っている
前の質問で、「意思表示をしている」と「意思表示をしてみたい」と回答した人に対して、「臓器提供についての考え」を聞いています。
「脳死後でも心臓が停止した死後でも提供しても良い」という人が63.4%と過半数を占めています。
そして、「心臓が停止した死後のみ提供しても良い」27.2%と合わせると、臓器提供をして良いという人は90%を超えています。
つまり、意思表示をしている、または、したいと思っている人のほとんどは「臓器移植をしても良い」と思っています。
意思表示をしたくない理由は「臓器提供意思表示に対して抵抗がある」
最初の質問で、「意思表示をしたいとは思わない」、または「わからない」と回答した1,781人を対象に、「理由」を聞いています。
複数回答の選択肢のなかでは、「臓器提供意思表示に対して抵抗がある」と「自分の意思がわからない」が多くなっています。
また、「家族が反対しそう」という人も23.0%います。
臓器提供について家族と話をしたことがある人は少ない
「臓器提供について、家族と話をしたことがありますか」という質問に対して、「ある」という人は少なく26.3%に留まっています。
全体の70%以上の人は、臓器提供について家族と話をしたことがありません。
自分は提供したいと思っても家族が反対することもある
臓器提供について家族と話をしたことがあると回答した789人に、「家族がどのような意見だったか」聞いています。
家族の態度は「理解している」が52.6%で半数以上でした。
しかし、「反対」が19.3%、「わからない」も28.1%と多く、家族としてもすぐに結論が出せない問題であることがわかります。
インターネットでもできる臓器提供の意思表示
2010年に改正臓器移植法が施行されて以来、約6年間に脳死状態で臓器を提供された方は306名でした。
そのうち、74%は家族の承諾による提供です。
個人が、自分の臓器提供の意思表示を行なう手段としては、次の3つがあります。
- 専用の意思表示カードに記入して持ち歩く
- 運転免許証や健康保険証に意思表示欄がある場合は、そこに記入する
- インターネット上で登録作業を行なう
とくに、インターネットによる方法はスマホでも登録できるので、意思表示の方法として普及が望まれます。
自分の死後に行なわれる臓器提供について考えることは、自分の死を前提として考えることですから、できればやりたくないという人も多いでしょう。
しかし、臓器を提供するかどうかを考えてみることは、自分の生き方について考え、自分の死について準備を始めるきっかけになります。終活作業の一環としても有益です。
縁起でもないなどと思わず、臓器を提供するにしても、しないにしても、自分で考える時間を作って、自分なりの結論を出しておくことをお勧めします。