臓器提供の意思表示をする人の9割は臓器を提供して良いと思っている

[2016/8/15 00:00]
「グリーンリボン」は移植医療のシンボル

臓器移植に関する意識調査

公益社団法人 日本臓器移植ネットワークが「臓器提供の意思表示に関する意識調査」の結果を公開しています。

この調査は、016年3月14日~16日に10代~60代の男女3,000人を対象にして、インターネット上で行なわれました。

ここでは、臓器移植について、一般の人がどのように考えているかについて見ていきます。

なお、図版は調査レポートを基に、編集部で作成しました。

臓器提供の意思表示をしたい人は40.6%

まず、「臓器提供意思表示への態度」を聞いています。

臓器移植に対して肯定的な「既に意思表示をしている」と「意思表示をしてみたい」を合わせると40.6%でした。

臓器移植に対して否定的な「意思表示をしたいとは思わない」人は24.4%です。

「わからない」という人も35.0%います。

臓器提供意思表示をしたいか(n=3,000)

意思表示をする人の9割は臓器移植をしても良いと思っている

前の質問で、「意思表示をしている」と「意思表示をしてみたい」と回答した人に対して、「臓器提供についての考え」を聞いています。

「脳死後でも心臓が停止した死後でも提供しても良い」という人が63.4%と過半数を占めています。

そして、「心臓が停止した死後のみ提供しても良い」27.2%と合わせると、臓器提供をして良いという人は90%を超えています。

つまり、意思表示をしている、または、したいと思っている人のほとんどは「臓器移植をしても良い」と思っています。

臓器提供をしたいか(n=1,219)

意思表示をしたくない理由は「臓器提供意思表示に対して抵抗がある」

最初の質問で、「意思表示をしたいとは思わない」、または「わからない」と回答した1,781人を対象に、「理由」を聞いています。

複数回答の選択肢のなかでは、「臓器提供意思表示に対して抵抗がある」と「自分の意思がわからない」が多くなっています。
また、「家族が反対しそう」という人も23.0%います。

なぜ意思表示をしたくないのか(n=1,781、複数回答あり)

臓器提供について家族と話をしたことがある人は少ない

「臓器提供について、家族と話をしたことがありますか」という質問に対して、「ある」という人は少なく26.3%に留まっています。

全体の70%以上の人は、臓器提供について家族と話をしたことがありません。

死後の臓器提供について、家族と話をしたことがあるか(n=3,000)

自分は提供したいと思っても家族が反対することもある

臓器提供について家族と話をしたことがあると回答した789人に、「家族がどのような意見だったか」聞いています。

家族の態度は「理解している」が52.6%で半数以上でした。

しかし、「反対」が19.3%、「わからない」も28.1%と多く、家族としてもすぐに結論が出せない問題であることがわかります。

臓器提供についての家族の意見(n=789人)

インターネットでもできる臓器提供の意思表示

2010年に改正臓器移植法が施行されて以来、約6年間に脳死状態で臓器を提供された方は306名でした。

そのうち、74%は家族の承諾による提供です。

個人が、自分の臓器提供の意思表示を行なう手段としては、次の3つがあります。

  • 専用の意思表示カードに記入して持ち歩く
  • 運転免許証や健康保険証に意思表示欄がある場合は、そこに記入する
  • インターネット上で登録作業を行なう

とくに、インターネットによる方法はスマホでも登録できるので、意思表示の方法として普及が望まれます。

自分の死後に行なわれる臓器提供について考えることは、自分の死を前提として考えることですから、できればやりたくないという人も多いでしょう。

しかし、臓器を提供するかどうかを考えてみることは、自分の生き方について考え、自分の死について準備を始めるきっかけになります。終活作業の一環としても有益です。

縁起でもないなどと思わず、臓器を提供するにしても、しないにしても、自分で考える時間を作って、自分なりの結論を出しておくことをお勧めします。

[シニアガイド編集部]