トリクロサン等の殺菌剤を含む薬用石鹸は、成分の切り替えが進行中

[2017/1/15 00:00]

アメリカのFDA(食品医薬品局)は、19種類の殺菌剤を使用した石鹸(せっけん)を、1年以内に販売を停止すると、昨年(2016年)9月に発表しました。

FDAでは、「通常の石鹸よりも殺菌効果があるという根拠がなく、長期使用の安全性も検証されていない」として禁止に至りました。

禁止を発表された殺菌剤の中には、日本でも広く使用されているトリクロサンが含まれています。

トリクロサンは、長年に渡って使用されており、国内でもトリクロサンを含む約800品目の製品が承認されています。また、2016年9月の時点で、トリクロサンを使用した製品による健康被害は報告されていません。

ただ、トリクロサンなどの殺菌剤を使うことで耐性菌が増えるというリスクがあることは否定できません。また、トリクロサンには、ホルモンの働きを阻害するなど健康への影響も指摘されていました。

2015年にはEUがトリクロサンの禁止を発表しており、FDAの判断が注目されていました。

FDAの措置を受けて、日本国内でも、業界団体である日本化粧品工業連合会と日本石鹸洗剤工業会が、トリクロサン等を含む薬用石鹸に対して、これらの成分を含有しない製品へ切替えるよう会員会社に要請しています。

厚労省もこれを受けて、製品を1年以内に代替製品に切替えるための承認を申請するように業界に求め、その際の承認審査を迅速に行なうことを通知しています。

このように、日本国内でも2017年9月をめどに、トリクロサンなどを含む薬用石鹸の使用が停止される見通しとなっています。それ以前に商品を購入する際に不安を感じる場合は、パッケージなどで薬用石鹸の成分を確認して選別しましょう。

なお、日本医師会の資料では、インフルエンザやノロウイルスの予防のための手洗いでは、石鹸の成分よりも、手洗いの方法が重要であると指摘しています。

厚労省が指導する「衛生的な手洗いの手順」を参考にして、自分の手洗いの方法もチェックしておきましょう。

衛生的な手洗いの手順 出典:厚労省
[シニアガイド編集部]