高齢の親が亡くなった時に必要な最低限の手続き

[2018/5/24 00:00]

書類が無ければ、火葬もできない

身内が死亡して、火葬し、埋葬するまでには、さまざまな書類が必要となります。

そして、葬儀が終わった後も、どうしてもやらなければならない手続きがあります。

ここでは、死亡から7日間ぐらいの間に必要な書類と、その手続きを紹介します。

なお、亡くなった人の立場によって、必要な手続きは異なります。

この記事では、75歳以上の後期高齢者の親が、病院で亡くなった場合を想定しています。

「死亡診断書」を書いてもらう

最初に必要となるのが「死亡届」です。

これはA3サイズの書式で、左半分が「死亡届」、右半分が「死亡診断書(死体検案書)」に分かれています。

病院で亡くなった場合は、特にお願いしなくても、右側の「死亡診断書」を書いた上で渡してくれます。

書類の作成費用は、1万円前後です。

遺体の搬出時までに、「死亡届」を受け取り、費用の精算を済ませておきましょう。

「死亡届」の書式 出典:法務省

「死亡届」を役所に出す

病院では、遺体を長く預かってくれません。

すぐに葬儀社を決めて、遺体の搬出を依頼することになります。

遺体の搬出が終わったら、「死亡届」に故人の本籍などの情報を記入して、葬儀社に渡します。

というのは、「死亡届」の提出は「7日以内」と定められているのですが、これを役所の窓口に提出しないと火葬の許可が下りません。

当日か、遅くとも翌日には提出する必要があるので、慣れている葬儀社に託して、手続きしてもらうことが多いのです。

なお、後のことになりますが、生命保険の請求手続きなどの際に「死亡届」のコピーが必要になる場合があります。

「死亡届」は、提出したときに写しをくれませんから、何部かコピーを取っておきましょう。

火葬の許可証を受け取る

「死亡届」を提出すると、役所から「死体埋火葬許可証」という書類が貰えます。

これは、遺体を火葬し、埋葬することを許可する書類です。

この書類は、市区町村ごとに書式が異なるので、微妙に名前が違うことがありますが、「火葬」と「埋葬」を許可するという機能は変わりません。

この書類をもらうためには、あらかじめ火葬する場所と日時を決めておく必要があります。

火葬場の空き状況を葬儀社に確認してもらって、日程を決めましょう。

火葬の日程が決まれば、葬儀の日取りや内容の打ち合わせも始められます。

「死体埋火葬許可証」の例 出典:青梅市

火葬が終わると「埋葬」の許可証に変わる

火葬が終わると、「死体埋火葬許可証」に「火葬が行なわれた日時」が記入され、「管理者の捺印」がされます。

この状態で、初めて遺体の「埋葬」が許可されたことになります。

「死体埋火葬許可証」は重要な書類なので、失くすと面倒なことになります。

そのため、火葬場によっては、骨壷といっしょに白木の箱にしまってくれるほどです。

「死体埋火葬許可証」は、納骨の際に、霊園や納骨堂の管理者に提出します。

絶対に必要な3つの手続き

ここまでくれば、火葬と葬儀についての手続きは終了です。

しばらくは手続きを忘れて、葬儀の実行に集中しましょう。

しかし、葬儀が終わったら、まだまだ手続きが待っています。

絶対にやらなければならないものに限って紹介しましょう。

それは、「健康保険」「介護保険」「年金」の手続きです。

「後期高齢者医療制度」の保険証を返却

75歳以上の国民は、「後期高齢者医療制度」という健康保険に加入しています。

そして、加入者が亡くなった場合は、14日以内に「保険証」を返却する必要があります。

役所の窓口に「保険証」を返却しましょう。

1つ、重要な注意があります。

親が老人ホームなどに入居していた場合、後期高齢者医療制度の管轄が、老人ホームのある住所ではなく、以前に住んでいた住所になります。

これを「住宅地特例」と言います。

例えば、東京都A区に住んでいた人が、埼玉県B市の老人ホームに入居していた場合、持っている後期高齢者医療制度の保険証は、B市の保険証ではなく、A区の保険証なのです。

この場合、B市の役所に行っても、返却や手続きができません。A区の役所まで、足を運ぶ必要があるのです。

役所に行く前には、必ず、保険証の発行元を確認しましょう。

いっしょに「葬祭費」の手続きをすると5万円貰える

後期高齢者医療制度の保険証の返却と一緒にやっておくと便利な手続きが2つあります。

1つは、「葬祭費」の受け取り手続きです。

「葬祭費」は、葬儀を行なった人に対して、後期高齢者医療制度から「5万円」の葬祭費用が出るものです。

地域によっては、独自に金額を上積みしている場合もあります。例えば、東京23区では「7万円」のところが多いようです。

「葬祭費」は、翌月に銀行振込されます。

手続きに必要なものは、葬儀を行なったことが確認できる領収書、受け取る人の印鑑と身分証明証、銀行口座が確認できる通帳かキャッシュカードです。

葬儀の領収書が、出ていないときは、喪主であることが確認できる「会葬礼状」でも代用できます。

もう1つ、親が別居していた場合は、「書類の郵送先の変更手続き」をしておきましょう。

郵便局では、死亡した人の郵便物は転送してくれません。差出人に戻されてしまいます。

書類の郵送先を変える手続きをしておかないと、年度末に送られてくる通知などを受け取れない可能性があるのです。

介護保険も手続きが必要

60歳以上の国民は、「介護保険」の保険証を持っています。

これも14日以内に、役所の窓口に返却する必要があります。

なお、同じ役所内でも、介護保険と後期高齢者医療制度の窓口は別れているのが普通です。順番に片付けていきましょう。

また、介護保険にも「住宅地特例」の制度があります。

役所に出かける前に、必ず発行元を確認して、無駄足になることを防ぎましょう。

そして、「書類の郵送先の変更手続き」を忘れずに、やっておきましょう。

なお、介護保険では「葬祭費」はありません。

年金については年金事務所へ

年金については、「受給停止」の手続きが必要です。

年金の振り込みは、2カ月分に1回なので、半端が残っていた場合は「未支給分の請求」も行ないます。

加入していたのが、国民年金だけであれば、役所の窓口で手続きができます。

厚生年金に加入していた場合は、日本年金機構の年金事務所が窓口になります。

どちらに相談してよいか分からないときは、年金事務所の相談窓口に行きましょう。

年金手帳が見つからないなどのトラブルについても、年金事務所で対応してもらえます。

まず、役所の窓口で相談を

絶対に手続きが必要な、健康保険、介護保険、年金について紹介しましたが、故人の状況によっては、さらにいろいろな手続きが必要となります。

役所によっては「死亡届を提出された後の主な手続きの紹介」という専用のパンフレットが用意されているほど、たくさんの手続きがあります。

最後の親孝行と思って、がんばって片付けましょう。

まずは、地元の役所の窓口で、「親が死亡したので、手続きに来た」と相談してみましょう。

[シニアガイド編集部]