その「除菌」製品は、新型コロナウイルスに有効ですか
アルコール消毒薬の不足で怪しい商品が流通
国民生活センターが、新型コロナウイルスの予防のために販売されている消毒薬などについて警告を発しています。
特にアルコールを使ったジェル状の消毒薬については、濃度が足りないなど、有効性が確認できない製品が流通しています。
国民生活センターによるアドバイスを中心に、「新型コロナウイルス」への対策を紹介します。
手洗いは「石鹸」だけで大丈夫
新型コロナウイルス対策の基本の1つは「手洗い」です。
手洗いの際は「流水」と「石鹸」が基本です。
それだけで十分にウイルスが除去できることが確認されています。
アルコール消毒は手洗いができないときに使う
手や指にアルコール消毒液を使うのは、「流水」と「石鹸」を使用した手洗いができないときに限られます。
使用するアルコール消毒液の濃度は「70%」が基本です。
70%以上の製品が入手ができない場合でも「60%台」は必要です。
濃度の高いアルコールは可燃性なので、使用する際は火気を避けて、換気をしてください。
燃料用アルコールは消毒に使ってはいけない
消毒剤等に用いられるアルコールはエタノールやイソプロパノールです。
「燃料用アルコール」として販売されている「メタノール」は人体に有毒です。
失明や死亡する恐れもありますから、絶対に消毒用として使用しないでください。
販売店によっては、「消毒用アルコール」と同じ棚に並んでいることがあるので、間違って買わないように気をつけてください。
ドアノブなどの消毒は「ハイター」を薄めて使う
食器やドアノブなど、身の回りの物の消毒は、「次亜塩素酸ナトリウム」を薄めて拭いた後、水拭きをします。
「次亜塩素酸ナトリウム」と言われるとわかりにくいのですが、家庭用の塩素系漂白剤の成分です。
商品名で言うと「ハイター」「ブリーチ」「キッチン用漂白剤」などがそれにあたります。
薄める濃度は「0.05%」が目安なので、ハイターであれば、水1Lに25ml(25cc)を入れます。
厚労省によるこちらのPDFファイルに製品ごとの目安があるので確認してください。
なお、「次亜塩素酸ナトリウム」は取り扱いに注意が必要です。
消毒の際には、次の4つの注意事項を守ってください。
- 家事用の手袋をする
- 換気をする
- 他の成分と混ぜない
- スプレー(噴霧)すると、目や口に入って危険なので、絶対に行なわない
「除菌」製品は成分を見る
現在、消毒用アルコールが不足気味なこともあって、「除菌」に有効と訴えるさまざまな製品が販売されています。
これらの製品を購入する際は、必ず成分を確認してください。
現時点で有効性が確実なのは、ここまでに紹介した「消毒用アルコール(70%)」と「次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)」だけしかありません。
他の成分については、新型コロナウイルスへの有効性は確認中です。
確認作業を担っている独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)では、有効である可能性が高い成分として、次の3つを挙げています。
- 「界面活性剤(台所用洗剤等)」
- 「次亜塩素酸水(電気分解(=電解)法で生成したもの)」
- 「第4級アンモニウム塩」
この3つについては、現在、NITEが中心になり、実際に新型コロナウイルスを使用した確認作業が行なわれています。
どうしても、消毒用アルコールと次亜塩素酸ナトリウムが使えない場合は、これらを成分とする製品を検討してください。
「除菌」は、どんな商品でも名乗ることができる
最後に、「除菌」と「消毒」の違いを紹介しましょう。
「除菌」は、一般に化学的・物理的に微生物を取り除くことをいいますが、その対象や程度は公的には定められていません。
「消毒」は一般に有害な微生物を除去、死滅、無害化することをいいます。手指の消毒は医薬品や医薬部外品の効能効果にあたるため、医薬品や医薬部外品にしか使えません。
つまり、「除菌」は有効性が確認できなくても勝手に名乗ることができますが、「消毒」は一定の基準に沿って認可を受けなければ名乗れません。
確実に有効な製品が必要な場合は、「消毒」と名前が付いている製品を選んでください。