「訪問介護事業者」の倒産が過去最悪のペースで増加。ヘルパーの人手不足が影響

[2023/9/17 00:00]

倒産が過去最悪のペースで増えている

家庭にヘルパーを派遣する「訪問介護事業者」の倒産が、過去最悪のペースで増えています。

調査会社の東京商工リサーチによれば、2023年1月から8月の「訪問介護事業者」の倒産は「44件」でした。

1年間を通しての倒産数では、2019年の「58件」が最多でしたが、今年はそれを上回る可能性が高くなっています。

出典:東京商工リサーチ

倒産原因の7割以上が「売上不振」

8月までに倒産した「44件」の倒産の理由を見てみましょう。

一番多いのは「売上不振」で33件でした。

つまり、全体の75%は、利用者が減るなどして、売上が立たなくなって倒産しています。

それ以外でも「運転資金の欠乏」や「赤字の累積」など、資金の不足が目立ちます。

倒産した事業者の77%は、「負債総額が5千万円未満」でした。

もともと小規模な事業者が多く、資金の不足が倒産へと結びつきやすいのです。

ヘルパーの人手不足が原因

介護保険関係の事業は、さまざまな職種がありますが、倒産が増加しているのは「訪問介護事業者」だけです。

その原因は、ヘルパー不足にあります。

訪問介護事業では、2023年に入って新型コロナが落ち着くとともに、ヘルパーへの需要が回復して、極端な人手不足になりました。

厚労省によると、2022年度のヘルパーの有効求人倍率は15.5倍と過去最高を記録しました。

「訪問介護事業」の収入は、介護保険の介護報酬に頼っていますが、これは法律によって金額が決まっています。

つまり、普通の会社のように、人手不足を解消するために収入を増やして、雇用条件を改善することができません。

そのため、今後もヘルパー不足が解消される見込みは少ないでしょう。

ヘルパーが不足することで、事業者の売り上げが減り、倒産へと追い込まれているのです。

困ったときにはケアマネに相談を

ヘルパーは、顔なじみになって一般家庭に出入りする職種なので、利用者との人間関係が深くなります。

そのため、倒産によってヘルパーが交代する事態は、利用者にとって大きな負担となります。

そのようなときは、すぐにケアマネジャーに相談してください。

[シニアガイド編集部]