たった2カ月で14社もの上場企業が「早期・希望退職」を募集。黒字の大企業でも安心できない時代に

[2024/3/13 00:00]

昨年を上回るハイペース

企業情報サービスの東京商工リサーチが「早期・希望退職」の実施状況を公開しています。

2024年1月と2月に、「早期・希望退職」を募集した上場企業は「14社」でした。

1年前の2023年は、1年間で41社でした。

それに比べると、かなり早いペースであることが分かります。

出典:東京商工リサーチ

黒字の大企業が実行している

今年の「早期・希望退職」の特徴は、規模が大きく、黒字の企業が行なっていることです。

2月までに「早期・希望退職」を募集した14社のうち、9社が黒字でした。

募集した企業の半分以上は、業績が良いのに「早期・希望退職」を募集しているのです。

また、黒字だった9社のうち、7社は、一番ランクが高い東証プライム市場に上場しています。

つまり、業績が好調で、規模が大きい大企業なのに、「早期・希望退職」の募集を行なっているのです。

「早期・希望退職」というと、業績が悪い企業が人減らしのために行なうというイメージがありますが、実は業績の良い大企業が、自社の構造改革のために不要な人材を減らすことが目的となっています。

資生堂とオムロンは千人以上を募集

「早期・希望退職」の募集を行なった企業について、実際の条件を見てみましょう。

今回、募集人員が千人を超えたのは「資生堂」と「オムロン」でした。

資生堂は1,500人、オムロンは1,000人を募集しています。

両社とも、すでに公開されていた構造改革プログラムの一環です。

なお、「早期・希望退職」では、募集対象の条件を社外に公開しない企業の方が多くなっていますが、公開している例を2つ見てみましょう。

オムロンは、「勤続年数3年以上かつ年齢40歳以上の正社員およびシニア社員」を対象としています。

ただし、グループ全体が対象ではなく、対象外の企業が指定されています。

同じグループ企業でも、どの会社に属しているかで、早期・希望退職の対象になることが決まってしまうのです。

もう一つ、東北新社も条件を公開しています。

こちらは、「勤続10年以上かつ50歳以上の当社正社員(マネージャー職を除く)」としています。

このように、40歳以上で管理職でなければ「早期・希望退職」の対象になる可能性があると思った方が良いでしょう。

自社の業績が良いから、大企業だからと言って安心するのではなく、毎日の職務に励む一方で、自社の構造改革などの情報収集に努めてください。

[シニアガイド編集部]