国民年金の「最終催告状」は、差し押さえを避けるラストチャンス

[2018/12/7 00:00]

国民年金は未納になりやすい

公的年金の保険料は、国民の義務として支払うべきものです。

しかし、国民年金については、給与からの天引きではなく、自分の意志で支払う必要があります。

払うのをやめようと思えば、簡単に止めることができますから、支払いを放置している人や、意図的に滞納する人が絶えません。

日本年金機構では、ここ数年、滞納者から強制的に保険料を徴収(ちょうしゅう)する「強制徴収」が活発になっています。

2018年度は、2018年12月と2019年1月を「国民年金保険料強制徴収取組月間」と定め、財産調査や差し押さえなどが行なわれます。

2018年度の「強制徴収取組月間」の対象になる人の条件は、次の2つです。

  • 控除後の所得が「300万円」以上
  • 保険料の未納月数が「7カ月」以上

この記事では、「強制徴収」の対象になった場合に、どのような取り組みが行なわれるのかを紹介します。

「最終催告状」が来たらギリギリの状況

強制徴収の対象になると、まず「最終催告状(さいこくじょう)」が送られます。

「最終催告状」には、『指定期限までに納付されない場合は、滞納処分(財産差し押さえ)を開始する』と明記されています。

これ以前に届く「催告状」とは異なる段階に踏み込み、差し押さえの予告が始まるのです。

「最終催告状」は、普通の支払い方法がとれる、ギリギリの状況と考えてください。

未納になっていた保険料の分割納付も認められますし、これを持って窓口に相談に行けば、保険料を免除や猶予してもらう相談もできます。

「最終催告状」は、必ず行動を取らなければならない危険信号なのです。

「督促状」は差し押さえの予告

最終催告状を無視して、指定期限までに保険料を払わないと、「督促状(とくそくじょう)」が届きます。

「督促状」には、『指定期限までに納付されない場合は、滞納処分が開始され、延滞金が課せられるほか、滞納者だけではなく連帯納付義務者(滞納者の世帯主や配偶者)の財産差し押さえが実施される』と明記されています。

「督促状」を無視していると、自分や家族の財産調査が始まり、差し押さえの準備が進みます。

未納の保険料には、延滞金が課せられるので、支払う金額も増えていきます。

さらに、基本的には分割納付が認められなくなり、延滞分を一括して納付することが求められます。

出典:厚労省

家族バレ&差し押さえの可能性も

督促状にもあるように、国民年金保険料は、本人に財産がなくても、「連帯納付義務者」から差し押さえができます。

「連帯納付義務者」とは、具体的には、滞納者の世帯主(親など)や配偶者を指します。

つまり、国民年金保険料を延滞していることが家族にバレるだけではなく、その人の財産がいきなり差し押さえられるという好ましくない状況になってしまうのです。

しかも、この時点では一括納付が原則ですから、支払いにあたって、それなりの金額が必要となります。場合によっては、金策の面でも迷惑をかけることになるでしょう。

彼は昔の彼ならず

以前の国民年金保険料は、取り立てが甘いという評判で、財産の差し押さえを予告しても、実施されることは少ないと言われてきました。

しかし、ここ数年は強制徴収に力を入れており、2016年度は4千件、2017年度は6千件の差し押さえが行なわれています。

しかも「強制徴収取組月間」の対象となる条件は、年々厳しくなっています。

2017年度の対象は「13カ月以上未納」だったのが、2018年度は「7カ月以上未納」に短縮されました。

少しずつ条件を厳しくして、最後は本気で取り立てるという意志を示しているのです。

以前のイメージは捨てて、大事になる前に対応を取ることをおすすめします。

特に所得額が1,000万円以上の場合、悪質とみなされれば、国税庁へ権限が委任される場合があります。収入の多い人にとって、国税庁の訪問を受けることは、好ましい事態とは言えないでしょう。

最終催告状が届いたら、必ず行動する

最後に「差し押さえ」という面倒を避けるためには、どうしたら良いか確認しましょう。

重要なことは「最終催告状が届いたら、必ず行動する」ことです。

最終催告状の段階であれば、保険料の免除や納付猶予などの相談もしやすく、未納分についても分割で支払うことができます。

免除や猶予などの対象になれば、再び延滞をする可能性も低くなります。

窓口に行って相談することは面倒ですし、免除や猶予の対象になることを嫌う人もいます。

しかし免除制度を利用している人はたくさんいますし、差し押さえが始まって修羅場を招くよりは、ずっとマシと考えましょう。

[シニアガイド編集部]