シニアも大学で学ぼう
大学で学ぶ理由
現在の大学では、生涯教育の場の提供を使命の一つとして考えており、いったん社会に出た社会人に対して「学び」の場を提供しています。つまり、大学側も社会人の入学を求めているのです。
大学という場で学ぶことは、他の生涯教育の手段とは異なる利点があります。
- 専門性の高い知識を組織的な課程に沿って学ぶことができる
- 「学士の学位」を取得でき、大学卒業という資格が得られる
- 専門性の高い国家試験を受験する資格が得られる(医療、司法など)
- 専門的な課程を学ぶことで国家資格が取得できる(教職、司書など)
とくに、大学進学率が高くなかった時代に生まれたシニアにとって、「大卒」という資格は魅力のある存在ではないでしょうか。
「社会人入試」と「AO入試」
現在の大学は、学科試験による一般入試と、AO入試を含む推薦入試によって学生を選抜しています。
いずれもシニアを含む社会人には、やや荷が重いと言えましょう。そのため、多くの大学では、社会人を対象として筆記試験と面接によって合否を判断する「社会人入試」制度が用意されています。
ただし、社会人入試制度は、全ての学部学科で用意されているわけではありません。また、募集枠も「若干名」とされている場合が珍しくありません。目指す大学のホームページなどで、入試制度を確認しましょう。
まず、自分の目的に沿った大学と学部を探し、その上で社会人入試の有無をホームページで確認すると良いでしょう。
たとえば、早稲田大学の2016年度入試では、社会人入試は政治経済学部のみとなっています。
合否の判定は、「TOEFL(iBT・PBT)・TOEIC・IELTS(Academic) いずれかのスコア・論文審査・面接審査の総合評価」とされています。合格点などは明らかにされていませんが、それなりの勉強は必要でしょう。
http://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/system/others/
なお、広島大学や関西国際大学のように、AO入試の一部にシニア向けの枠を設けている場合もあります。念のためAO入試についてもチェックしましょう。
・広島大学「AO入試フェニックス方式」
http://hiroshima-u.jp/top/nyugaku/sembatsu/ao
満50歳以上が対象。
・関西国際大学「シニア特別入試」
http://www.kuins.ac.jp/admission/admission/senior.html
満60歳以上が対象。
シニア優待制度のある大学
シニアの入学を促すために、一定以上の年齢の入学者を優待する制度を設けている大学もあります。これは一例ですので、志望校のホームページで確認してみましょう。
・静岡英和学院大学
http://www.shizuoka-eiwa.ac.jp/university/
60歳以上は学費を1/3減免する。
・新潟産業大学
http://www.nsu.ac.jp/nyushi/society/?page_id=820
40歳以上は、入学検定料を半額免除、入学金を全額免除する。さらに、在学期間中の学納金(授業料、施設設備資金、教育充実費)を半額免除する。
・神戸山手大学
http://www.kobe-yamate.ac.jp/univ/examination/points/senior.shtml
50歳以上で「シニア50+入試」の合格者は、年額40万円を4年間給付する。返還不要。
・大阪商業大学
http://ouc.daishodai.ac.jp/campuslife/support/scholarship.html
55歳以上の社会人入学試験合格者は、年齢×1万円を4年間減免する。編入学の場合は2年間減免。
学費の見積もり
文部科学省による調査によれば、大学入学初年度に必要な学費は次のようになっています。平均値ですので、一応の目安と考えてください。
- 私立大学文系 115万円
- 私立大学理系 150万円
- 国立大学 82万円
- 公立大学 94万円
2年目からは、入学金は不要となりますが、とりあえず初年度だけでも、これだけの費用が必要となりますので、奨学金制度の利用など事前の計画が必要です。
自分が大学に行きたい理由をよく考えたうえで、大学への進学を検討しましょう。