仕事を通じて社会に参加する「シルバー人材センター」という働き方

[2015/10/22 04:18]

社会参加の手段としての仕事

シニア向けの仕事を紹介してくれる「シルバー人材センター」という組織があります。

シルバー人材センターは、60歳以上の人を対象にした会員組織で、原則として市区町村に1つずつあります。

もともとは、東京都の高齢者事業団が発祥なので、民間の企業ではなく公益法人(社団法人)として運営されています。

シルバー人材センターは、「フルタイムで働くことは希望しないが、仕事を通じて社会に参加したい」という高齢者を対象としています。

シルバー人材センターで働くには、まず会員になる必要があります。

会員になる申し込みは、地元のセンターで行ないます。センターによっては定期的に説明会などを行なっていますので、そういうイベントに参加すると良いでしょう。

シルバー人材センターの仕事

シルバー人材センターが募集している仕事は、軽作業が基本です。

作業内容は、除草/草刈り、屋外清掃、屋内清掃、包装・梱包(封入や袋詰め)、チラシ・ビラ配りなどの一般作業が中心です。
また、ビルやマンションなどの建物管理、遊戯施設などの管理、 駐車/駐輪場の管理も、多い仕事です。公共施設の駐輪場で自転車を整理している姿をよく見かけます。

センターによっては、技能がある会員向けに、庭木などの剪定、障子・ふすま・網戸の張替え、筆耕なども募集しています。

シルバー人材センターの仕事は、「地域への参加」を目的とするという趣旨から、地元の地域社会での作業が中心になります。

なお、シルバー人材センターは、個人に仕事を斡旋や紹介するのではなく、シルバー人材センター自身が、仕事を依頼する企業や公共団体と契約して、仕事を請け負います。

仕事の発注先からは、外注費や委託費として費用が支払われます。シルバー人材センターは、仕事に参加した会員に配分金として支払います。配分金の金額は保証されませんが、統計では、一人当たり月に5万円弱ぐらいです。

コミュニティとしてのシルバー人材センター

シルバー人材センターは、単なる職業紹介所ではなく、コミュニティとしての側面があります。

会員は、仕事の提供を受けるとともに、社団法人の構成員としてシルバー人材センターの運営の主体となります。これは、シルバー人材センターの理念が、行政が直接実施する事業としてではなく、地域の高齢者の自主的な組織として運営されることを目指しているためです。

構成員としての会費はセンターによって異なり、年に数百円~3,000円前後です。

活動内容はセンターによって異なりますが、会員同士の親睦や交流を深めるための親睦旅行やサークル活動もあります。

シルバー人材センターの実績

シルバー人材センター発祥の地でもある東京都を例にとって、シルバー人材センターの実績を見てみましょう。数字は2015年3月時点のものです。

会員数は82,445人。男女比は男性が66%、女性が34%です。

年に1回以上就業している会員(就業会員)は、65,035人で、就業率は62.8%。平均従事日数は12.8日で、1人当たり配分金46,265円となっています。

就業会員を年齢別に見ると、70~74歳が23,925人(36.8%)で最も多く、以下65~69歳(22.7%)、75~79歳(25.1%)です。65歳~74歳が半数以上を占めています。

また、同じシルバー人材センターでも地区による実績の差があります。活動が盛んなのは、江東区、品川区、大田区、世田谷区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区です。これらの区は会員数が3千人前後に達しており、2千人以上が実際に就業しています。

仕事と人付き合いは、前向きに生きるための重要な要素

シルバー人材センターの特徴をまとめてみましょう。

  • 満60歳以上が対象
  • 就業を通しての社会参加が目的
  • 仕事はパートタイムの軽作業が中心
  • 地域社会への貢献も目的なので地元で働く
  • コミュニティとしても活動
  • 配分金(収入)の金額は保証されないが、1カ月当たり5万円前後

シルバー人材センターが向いている人は、仕事をすることが楽しく、地元になじみがあり、人付き合いが苦にならないタイプでしょう。仕事と人付き合いは、前向きに生きるための重要な要素です。

[シニアガイド編集部]