1月1日から始まった「ジュニアNISA」で子供や孫の大学入学資金を作る

[2016/1/4 00:00]

子供のための資金を作る無税制度

2016年1月1日に「ジュニアNISA」制度が始まりました。

口座が開けるのは1月1日からで、実際に投資を始められるのは4月1日からとなります。

ジュニアNISAの本来の目的は、「子供のための教育資金を作ること」にあります。

まとまった資金を作りやすくするために、いくつかの特徴があります

  • 親権者が投資を行なうが、口座の名義は子供となる
  • 子供が18歳になるまで、口座からお金を引き出せない
  • 投資によって得られた利益に税金がかからない

この制度の基本について、もう少しご紹介しましょう。

「親権者」が「未成年の名義」で投資する

「ジュニアNISA」は、銀行、郵便局、証券会社などから、どこか1つの支店を選んで口座を開きます。子供1人につき、口座は1つだけで、複数作ることはできません。

この場合、口座の名義は「0~19歳の未成年者」(一般には子供)になります。実際に投資先などを指図するのは「親権者(一般には両親)」になりますが、それは口座の名義人の代わりに行なっていると考えます。

また、資金については親権者に限らず、誰が出してもかまいません。つまり、口座があれば、祖父母や叔父叔母などが資金を出すことができます。

投資する金額は、「年間80万円」が上限となります。贈与税の対象となる年間110万円よりも少ないので、祖父母などがお金を出しても贈与税はかかりません。

投資できるのは、最大5年間となります。1年に80万円投資できますから、ジュニアNISAの口座には「最大で400万円」まで投資できます。投資期間中に得られた利益については無税となります。一般には、株式投資に対する所得税は利益の20%ですから、それがかからないのは利点です。

ジュニアNISAは、子供のための資金を作ることを目的としているため、口座の名義人(口座開設者)が「18歳」になるまで、口座からお金を引き出すことができません。

つまりジュニアNISAとは、「親が子供が18歳になったときのために、毎年80万円、全体で400万円を上限としてお金を投資するシステムで、それを援助するために税金がかからない」というわけです。

口座をどこに作るかには注意が必要

次に、「ジュニアNISA」を利用する際に注意するポイントを見ていきましょう。

まず、「18歳になるまでお金が引き出せない」という点です。

この期限は、正確には「3月31日時点で18歳である年の1月1日以降」とされています。つまり、貯めた資金を進学用に使うとすれば、大学進学時の受験料や入学金として使うことになります。

この期限以前に、引き出すことは可能ですが、その場合は通常の株式投資と同じ税金がかかります。

逆に言えば、口座からお金を引き出すのに制約があることで、「子供にお金を残しやすい」と言えます。

また、「1人の子供につき、口座は1つだけ」です。

ジュニアNISAの口座は、1度開くと、他の金融機関には移せません。また、ジュニアNISAの口座を開く際には、マイナンバーが必要となりますので、複数作ろうとするとマイナンバーでチェックされます。

なお、金融機関によって、ジュニアNISAで取り扱える投資先が変わります。郵便局や銀行では「株式投資信託」に限られますが、証券会社では「株式投資信託」に加え、「上場株式」「ETF:上場投資信託」「REIT:不動産投資信託」などが選択できます。投資の幅を広げる可能性がある場合は、最初から「証券会社」で口座を開きましょう。

最後に、この制度は期間が限定されており、2023年12月末までが投資できる期間となっています。

期間限定の制度だけに、無税というメリットを最大限に活用するためには、早めに始めましょう。

「投資」であることの魅力とリスク

ジュニアNISAの正式名称は「未成年者少額投資非課税制度」です。名前の通り、未成年者の名義で「投資」を行なう際に、その収益にかかる税金が無税となるものです。

「投資」ですから、元本が保証されるわけではありません。ただし、低い金利が固定されている一般的な積立預金よりも、大きな利益が得られる可能性があります。しかも、利益に税金がかかりません。

しかし、比較的やさしい「株式投資信託」や「ETF」を選択するとしても、どれを選択するかという知識と決断は必要となります。最低限「国内に投資するか」「海外に投資するか」「同じように見える投資信託やETFの良し悪しはどこで見分けるか」を考えて投資する必要があります。

もちろん、さらに意欲があれば、どこか1社の株式に投資する「上場株式」を選択して、特定の会社の株式に投資することもできます。例えば、自動車が大好きなお孫さんのために、自動車会社の株式に投資したジュニアNISA口座を残すということもできます。それをきっかけにして、お孫さんの興味が社会に広がれば最高でしょう。

まとめると、「全然増えなくても良いから確実にお金を残したい」というのであれば一般的な積立預金を、「少しでも増やせる可能性が欲しいし、投資先を自分で選びたい。また、インフレにも備えたい」のであればジュニアNISAを選択すると良いでしょう。

[シニアガイド編集部]