孫の教育費を確実に残せる「教育資金贈与信託」

[2015/9/12 23:05]

孫に教育費を残したい

手元にある現金を、将来の孫の教育費として残したい、というのは孫のいる方の願望の1つでしょう。

もちろん、お孫さんがその資金を必要とするまで生きていて、その都度に渡すのが一番良いことですが、現時点で、まだ幼いとなると不安もあります。

では、一括して「孫の親」つまり息子や娘に、現金を預けて良いのでしょうか。しかし、一度に大金を渡してしまうと、孫の教育費以外の用途に使われてしまう可能性がゼロではありません。また、息子や娘であれば、いずれはあなたの遺産を受け取る立場です。

孫に直接、しかも教育資金に限定して残したい。そういう用途にぴったりなのが、2013年に登場した「教育資金贈与信託」です。

これは、孫の教育費を1,500万円まで預かって管理し、教育費であることを確認した場合のみ出金してくれる信託です。孫の教育資金を間違いなく残すために有効な商品です。しかも、贈与税は非課税です。

もう少し、くわしく解説しましょう。

贈る側は口座を作って預けるだけ

この「教育資金贈与信託」は、「教育資金贈与の非課税制度」という2019年までの期間限定の制度にもとづいています。

【追記】2021年まで2年間延長されました。

信託という制度はあまりなじみのあるものではありませんが、「教育資金贈与信託」へ資金を預ける側の手順は、あまり難しいものではありません。

まず、信託銀行で「教育資金贈与信託」の口座を作ります。信託銀行になじみがなければ、メガバンクなどでも、系列の信託銀行を紹介してくれます。口座ができたら入金します。入金する金額は10万円以上、1,500万円までとなっています。贈る側の手続きは、これで終了です。

この口座には、ある程度の金額が長期間預けられますが、利息はつきません。その代わり、お金を管理する手数料や出金時のチェックなどの手数料はかかりません。

口座の通帳は、お孫さんに渡されます。口座から出金する場合に、お孫さんが未成年の場合は保護者が代行します。

この口座からの出金は、基本的には教育資金に限定されているため、信託銀行に対して教育機関からの請求書や領収書を示す必要があります。請求書を示した場合は、教育機関に直接支払われます。これなら、教育用途以外にお金が使われる心配はないでしょう。

主な用途としては、幼稚園から大学までの入学料や授業料が対象となります。認定されている範囲は比較的広く、PTA会費や給食費も含まれます。また、保育所、認定こども園、外国の教育施設なども対象となります。

また、500万円までの範囲であれば、学習塾やスポーツ教室などの利用料も対象となります。

教育費用を一括して渡せるのがメリット

この信託を使って孫に渡される教育費に贈与税はかかりません。

ただ、直系血族の教育費に対する贈与は、もともと非課税ですから、この制度のメリットはそこではありません。

「一括して大きなお金を預けることができること」と「用途が教育資金に限られ、一定のチェックが入ること」でしょう。

お孫さんに教育という遺産を残す方法として、検討する価値のある商品です。手持ち資金に余裕があれば制度の期限内に検討してみましょう。

【お知らせ】この記事は2019年1月25日に内容が更新されました。

[シニアガイド編集部]