住宅を買った人と、医療費がたくさんかかった人は、還付申告すれば税金が戻ってくる

[2016/2/8 07:35]

還付申告すると税金の一部が戻ってくる

サラリーマン(給与所得者)は、年末調整があるので、所得税について自分で計算することがありません。

しかし、特定の事情があるときは税務署に「還付申告」をすることで、納め過ぎた税金が戻ってきます。

還付申告は確定申告の一種で、給与所得者が還付だけを目的として確定申告することを指します。

還付申告をすれば、数枚の書類を書くだけで、それなりの金額の現金が戻ってきます。

書類への記入は難しくありませんから、忘れずに申告しましょう。

還付申告をすると得する人

還付申告の対象となるのは、次のような場合です。

  • 多額の医療費を支出したとき 「医療費控除」の対象
  • 特定の寄附をしたとき 「寄附金控除」の対象
  • 一定の条件に該当する住宅を取得して、住宅ローンがあるとき 「住宅借入金等特別控除」の対象
  • 年の途中で退職し、年末調整を受けずに所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき

それぞれの控除について、注意する点があります。

「医療費控除」
10万円以上が対象だが、所得が200万円未満の人は、所得の5%以上で対象となる。家族の分もまとめられるので忘れずに合算する
「寄附金控除」
ふるさと納税で「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を出している人は、申告しなくても良い。NPO法人への寄付は「認定NPO法人」でなければ控除の対象にならない
「住宅借入金等特別控除」
住宅を取得した年は確定申告が必要。2年目からは年末調整で済むので、初年度は必ず申告する

それぞれの控除については、国税庁のWebサイトに詳しい情報がありますが、税務署の窓口や、この季節に多い「無料申告相談会」などでも相談できます。

還付申告の方法

還付申告をするためには、支出があったことを証明する書類と、確定申告書が必要です。

必要な書類については、控除の種類によって異なるので、よく確認して漏れがないようにしましょう。

「確定申告書」は、国税庁の「確定申告書作成コーナー」を利用すると、PDFファイルが作成できるので、それをプリントアウトすると簡単です。このコーナーを利用すると、必要な計算をしてくれるので、計算ミスもありません。

用意した書類をもって、3月15日までに、もよりの税務署に持ち込むか送付すれば申告は終了します。

初めて還付申告をするときは、書類の添付漏れなどが起きやすいので、できるだけ税務署に足を運びましょう。印鑑と通帳も忘れずに持って行きましょう。

わからないことがあったら、その場で聞けば親切に教えてくれます。

申告後、約1カ月ほどで指定の口座に還付金が振り込まれます。

2月16日を過ぎると、個人事業主の確定申告が始まります。特に3月に入ると税務署が混み合いますから、できるだけ2月中に還付申告を終わらせましょう。

控除の種類と効果

最後に、「控除」について簡単に説明しておきましょう。

所得税は、会社から貰う報酬(給与)の額にそのままかかるわけではありません。

報酬をもとにして「所得」を計算し、それに税率をかけて「所得税額」を出します。

「所得」を計算するときに、各個人のいろいろな事情を汲み取るために「控除」という仕組みがあります。

控除には、「所得控除」と「税額控除」の2つがあります。

「所得控除」は、「報酬」から「控除額」を引きます。「医療費控除」や「寄附金控除」は所得控除です。

「税額控除」は、「所得」から計算した「所得税額」から「控除額」を引きます。「住宅借入金等特別控除」は、税額控除です。

2つの控除を含めて、所得税の計算方法をまとめると、次のようになります。

「報酬」ー「所得控除」=「所得」×「税率」=「所得税額」ー「税額控除」=納税額

なお、「所得控除」と「税額控除」が同じ1万円ならば、「税額控除」の方が納税額が少なくなります。税額控除である「住宅借入金等特別控除」の申告が重要な理由です。

[シニアガイド編集部]