インターネットで申し込めて無担保で350万円借りられる「国の教育ローン」
子供の学費負担が重い
子供が大学に進学すると、高校在学中に比べて、学費の負担が重くなります。
日本政策金融公庫の調査によれば、入学から卒業までの学費は、国公立大学で485万円、私立文系で695万円、私立理系で880万円かかるとされています。
とくに、子供が大学に進学する時期は、親の介護や自分の住宅ローンなどの出費が重なる時期でもあり、手持ち資金が不足しがちです。
奨学金の利用を前提としても、入学時の一時金など、大きな金額のお金が必要な際の負担は大きいものがあります。
そういうときに、使いやすいのが「国の教育ローン」です。「国の教育ローン」は、公的ローンの割には収入の制限がゆるく、借りやすいのが特徴です。
また、無担保で最大350万円まで一括で貸し出しされるので、入学時の資金に向いています。
もちろん、日本学生支援機構の奨学金と併用できます。
この記事では、奨学金に比べて知名度が低い「国の教育ローン」について紹介します。
保護者に一括で大きな金額を貸し出し
国の教育ローンは、次のような仕様です。
- 貸し出し元:日本政策金融公庫(政府系金融機関)
- 貸し出し対象:保護者
- 所得制限:世帯収入が790万円以下、自営業などの所得の場合は590万円以下
- 対象学校:国内外の高校、大学、大学院、専修・各種学校
- 用途:学校への納入金のほか、パソコン、下宿の家賃、国民年金保険料などにも利用可能
- 金融限度額:350万円(6カ月以上の海外留学の場合は450万円)
- 金利:年1.76%の固定金利(2017年11月現在)、母子/父子家庭や低所得家庭の場合は1.36%
- 保証:教育資金融資保証基金または連帯保証人
- 返済期間:15年以内
- 返済方法:元利均等返済
- 日本学生支援機構の奨学金との併用:可能
このローンの特徴は、貸出先が学生本人ではなく、保護者であることです。
世帯全体の所得が「790万円」という制限がありますが、これは子供が1人の場合で、2人になると890万円、3人だと990万円と枠が広がります。
2つの特徴は、大きな金額のお金を、1回で貸し出してくれることです。
合格発表前に申し込んでおけば、お金が入用な入学時の資金に充てられます。
資金の使い道も広く、学生生活を維持するためのものであれば、パソコンや教科書、下宿の敷金や家賃などにも利用できます。
保証のところに名前が出ている「教育資金融資保証基金」は、このローンのために、保証人に代わって融資の保証を行うことを目的に設立された公益財団法人です。
この仕組があるので、保証人や担保がなくても融資が受けられます。
保証料は、ローンの金額から、あらかじめ差し引かれて支給されます。
また、専用のコールセンターが用意されているほか、申し込みはオンラインでWebからもできます。
国の制度にしては、シンプルで申し込みやすいシステムと言えるでしょう。
金利や返済期限などの優遇が多い
「国の教育ローン」は、優遇規定が多いのも特徴です。
優遇規程の対象となるのは、母子・父子世帯と、年収が200万円以内、自営業で所得が122万円以内の世帯です。
これらの世帯に対しては、金利が優1.36%に優遇され、貸出期間も18年以内まで延長できます。
また、交通遺児家庭の場合、保証金が3分の2に下がります。
保護者の収入制限枠についても、家族の誰かが単身赴任や自宅外通学をしていると年収で990万円、所得で770万円まで広がります。
返済のシミュレーション結果
では、返済のシミュレーションをしてみましょう。
このローンでは、返済は元利均等返済なので、基本的には毎月定額を返済することになります。
上限である「350万円」を「15年返済」とした場合、毎月の返済額は「22,300円」、返済総額は「398万2,100円」となります。
返済にあたっては、「据置期間」を設定することもできます。これは、在学中は金利のみ返済して、卒業後に元本(借入金)の返済を始めます。
また、ボーナスを前提として、年に2回の増額を設定することもできます。
日本政策金融公庫のWebには、ローン返済のシミュレーターが用意されているので、簡単に返済条件を検討できます。「借入金額」や「返済期間」をいろいろと変えて、自分に合った条件を探しましょう。
入学資金の場合は合格発表前に申し込みできる
「国の教育ローン」の申し込みは、いつでも受け付けています。
審査開始から10日程度で融資の可否が決まり、融資が決まれば、審査開始から20日程度で入金されます。
入学資金として申し込む場合は、合格通知書や入学許可書など合格を確認できる書類のコピーも必要になりますが、事前に相談しておけば、書類が揃った時点で審査が始まりますから、早めに相談しておきましょう。
日本政策金融公庫では、教育費用が必要になる時期の2~3か月前の申込みを勧めています。
【お知らせ】この記事は2018年2月15日に内容を更新しました。