海外留学する大学生や、海外で働く自営業の国民年金の扱い

[2016/2/22 03:04]

海外に住む第1号被保険者の扱い

自営業者や学生などの第1号被保険者が、仕事や留学で海外に住む場合、国民年金の保険料は支払う必要がなくなります。

なぜなら、国民年金の被保険者の資格は、「日本国内に居住している20歳以上60歳未満」と定められているからです。

海外に出る前に「海外転出届け」を市区町村の窓口に提出することで、国民年金の強制加入義務がなくなります。

海外に住んでいた期間は、いわゆる「カラ期間」、正確には「合算対象期間」になり、老齢基礎年金などの受給資格期間には入れますが、年金額を計算する際には入れません。

つまり、300カ月(25年間)という年金の受給資格を得るための月数としては数えられますが、年金の給付額を計算するときの月数には入りません。

年金額を増やすための任意加入制度

しかし、カラ期間が長期に及ぶと、将来貰える年金額に影響してきます。

そのために「任意加入」という制度が用意されています。

市区町村の窓口で「任意加入」をしておき、口座振替などの手段で保険料を支払うことで、海外に居た期間も保険料納付済期間として計算され、将来の年金額が増えます。

任意加入中の扱いは、第1号被保険者と同じです。海外在住期間に死亡したときや、病気やけがで障害が残ったときは、遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されます。

また、次で説明するように、自営業者が「社会保障協定」を利用する場合は、任意加入が条件となります。

第1号被保険者が海外に行く場合の注意点

自営業者や学生などの第1号被保険者が海外に在住するにあたって、覚えておきたいことが2つあります。

「社会保障協定」
日本と「社会保障協定」を結んでいる国において働く場合は、日本または相手国のどちらか片方の社会保障制度に加入します。協定相手国での就労期間が開始時点で5年以内と見込まれる場合は、日本の国民年金のみに加入することもできます。
「学生納付特例制度」
海外の大学等に留学した場合は、学生の保険料納付を猶予する「学生納付特例制度」は利用できません

なお、社会保障協定の適用については、協定相手国で就労期間中も、日本の社会保障制度に加入しているこという条件があります。つまり任意加入は欠かせません。

留学の場合も、自営業で働く場合も、渡航前に市区町村窓口に相談に行き、必要な手続きを確認するようにしましょう。

[シニアガイド編集部]