転職をした時に、国民年金の「未納」が起こりやすい理由と、その悪影響

[2016/2/25 04:05]

意外と多い短期間の未納

日本年金機構の「ねんきんネット」で、自分の年金保険料の支払歴を調べていると、国民年金が未納になっている時期がありました。

不思議なことに、1カ月だけポツンと未納になっている月が、ところどころにあるのです。

厚生年金保険の記録と見比べてみると、理由がわかりました。

ある会社を辞めて次の会社に入社するまでの期間は、厚生年金保険が途切れて、国民年金になっているのです。

当時はそれに気が付かず、未納のままになっていたのです。督促が来ていたのかもしれませんが、支払いをしなかったでしょう

このように、自分が意識せずに国民年金が「未納」になっているというのは、実は大きな問題なのです。

その理由と対策を紹介しましょう。

国民年金保険料の支払い例。赤で囲った2つの部分が1カ月だけ未納となっている

会社を辞めたときは国民年金の加入手続きが必要

こういう「意図しない国民年金の未納」が起こるのには理由があります。

実は、厚生年金に加入する時は、自動的に国民年金から抜けたと判断してくれるのですが、会社を辞めて厚生年金から抜けたときは、国保に再加入するのに手続きが必要なのです。

つまり、本来なら、ある会社を辞めたときは、市区町村の窓口へ行って、国民年金へ第1号被保険者として加入する手続きをしなければいけないのです。しかし、退職前後はすることが多いので、つい忘れがちです。

また、本人の気持ちとしては、すぐに別の会社に転職したつもりであっても、実は1日でも間が空いていると、その期間は、国民年金の加入者となります。この場合は、国民年金への加入手続きを忘れてもしょうがないでしょう。

しかし、『会社を辞めたときは国民年金の加入手続きが必要』ということを覚えておいてください。

それには理由があります。

1カ月でも未納があると障害年金が貰えない

実は、国民年金の未納が1カ月あっても、老後にもらう老齢年金の額には大きな影響はありません。

だいたい、年額で1,600円ぐらいです。

しかし、「未納」があると、自分が病気やケガで障害を受けた場合の「障害年金」や、自分が死んだときの「遺族年金」が貰えない場合があるのです。

例えば、「遺族基礎年金」では、「死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます」という条件があります。

つまり、最近の1年間に「未納」があると、年金が出ません。

この条件は、「障害年金」でも同じです。

ちょっと手続きを怠っただけで、こういう結果を招いてしまうのは、本当にもったいないことです。

『過去1年以内に、1カ月でも未納があると、障害年金や遺族年金が貰えない』ということを覚えておいてください。

条件によっては「未納」ではなく「免除」や「猶予」も受けられる

国民年金の手続きに行くときは、「雇用保険受給資格者証の写し」または「雇用保険被保険者離職票等の写し」も忘れずに持って行きましょう。

実は、失業した場合も申請することにより、保険料の納付が免除や猶予になる場合があります。

すぐに転職せずに、ある程度の期間を国民年金で過ごす予定であれば、「免除」や「猶予」を目指しましょう。

免除や猶予であれば、未納とちがって障害年金や遺族年金の支給条件には影響しません。

そして、免除、猶予になった保険料は、あとから追納できます。

多少とはいえ、将来の老齢年金の金額に影響しますので、新しい会社での生活が安定したら追納を検討しましょう。

[シニアガイド編集部]