金利の低下が続く状況で「個人向け国債 変動10年」はどうなっているか
マイナス金利政策の影響
日銀のマイナス金利政策により、銀行口座をはじめとするいろいろな金融商品の金利が低下しています。
個人が購入できる国債についても、「新型窓口販売方式による利付国債」という種類の商品が「低金利」を理由に募集を停止するなど、影響が出始めました。
では以前、弊誌が個人向けに推奨した「個人向け国債 変動10年」はどうなっているでしょう。
金利は下がり続けているが、ほかと比べると有利
上のグラフは、「個人向け国債 変動10年」の最近の動向です。
オレンジの線で表したのは、「初回金利」と言って、最初に設定されている金利です。これは、マイナス金利政策の影響で下がり続けています。
ちなみに、次回の募集では初回金利は「0.05%」にさらに下がります。これは税引き前の金利ですから、税金を引くと「0.0398425%」になります。
率直に言って、お金を増やすことが期待できる金利ではありません。
その割には、青で示した「発行額(億円)」は、あまり下がっていません。
実は、0.05%に下がったとしても、ほかの手段に比べると高い金利なのです。たとえば、銀行の「定期預金10年もの」の金利は、2月24日現在で「0.025%」です。
しかも、「個人向け国債 変動10年」の0.05%という金利は最低保証ですから、これ以上は下がることはありません。また、半年に一度見直しされますので、上る可能性もあります。
現在の0.05%という利率は、とても満足できる水準とは言えませんが、それでも少しはマシです。変動金利なので、将来の希望もゼロではありません。
元本保証で、1年経てば換金できる
「個人向け国債 変動10年」の特徴をもう一度書いておきましょう。
- 国債なので、日本国が元本や利子の支払いを保証している
- 1万円単位で始められる
- 年に2回、利子がもらえる
- 変動金利で半年ごとに金利が見直される
- 金利が低くなっても、最低利率0.05%は保証される
- 発行後1年経過すれば中途換金できる
- 中途換金しても元本が保証される
- 月1回募集され、銀行や郵便局で購入できる
- 購入に手数料がかからない
- 金融機関に専用の口座を開いて購入する
- 利益分のみ20.315%の源泉分離課税
「元本が減るのは絶対に避けたい、できれば少し増やしたい」という個人にとって、「個人向け国債 変動10年」は引き続き推奨できる手段です。
ただし、当分の間は、お金が増えることは期待できないでしょう。元本が保障されており、管理手数料などがかからないだけ良いと思うしかありません。
心配なのは、さらに低金利化が進むと、募集を停止したり、最低保証利率を引き下げたりする可能性がないとはいえないことです。購入する際は、発行条件の変化に注意して購入してください。
個人向け国債は、証券会社、銀行、ゆうちょ銀行、農協などの金融機関で購入できます。