入浴前の血圧と体温が、事故を防ぐチェックポイント

[2016/3/1 02:55]

一般財団法人日本健康開発財団の温泉医科学研究所と東京都市大学は、訪問入浴を安全に行なうためのガイドラインを発表しました。

示されたガイドラインを分かりやすい表現にすると、次のようになります。

高血圧時の入浴は避ける
入浴前に上の血圧が160mmHg以上、下の血圧が100mmHg以上の場合は事故の可能性が高くなる
熱がある場合の入浴は避ける
入浴前に体温が37.5度以上の場合は事故の可能性が高くなる

このガイドラインは、介護保険による訪問入浴についてのものですが、高齢者が自宅で入浴する場合にも参考にしたい基準です。

ここから先は、ガイドラインの詳細について興味のある方がお読みください。

596例の事故を調査

ガイドラインの策定にあたって、温泉医科学研究所らは、次のような調査を行なっています。

まず、介護保険の訪問入浴事業所として登録がある全2,330か所の事業所を対象に、訪問入浴に関連する事故・体調不良例を調査しました。

事故や体調不良例は596例で、正常に入浴を終了した対照例1,511例と、状況を比較しました。

主な事故の症例は、次のように報告されています。

発熱100例(16.8%)、呼吸困難・喀痰喀出困難93例(15.6%)、意識障害64例(10.7%)、嘔吐・吐き気63例(10.6%)、外傷63例(10.6%)、血圧上昇46例(7.7%)、血圧低下46例(7.7%)、チアノーゼ・顔色不良36例(6.0%) (上位、重複報告あり)。

統計学的に有意な事実

統計学的な調査の結果、次のような事実が判明しました。

入浴前の収縮期血圧と事故との関連性。 ※「オッズ比」は統計学的な関連の強さを示す指標
高血圧時の入浴は事故発生のリスクが高い
入浴前の収縮期血圧が160mmHg以上であることは入浴事故の発生と3.63倍*の関連があった(101-129mmHgを基準とした場合)。入浴前の拡張期血圧が100mmHg以上であることは入浴事故の発生と14.71倍*の関連があった(61-84mmHgを基準とした場合)
発熱時の入浴は事故発生のリスクが高い
入浴前に体温37.5℃以上であることは入浴事故の発生と16.47倍*の関連があった(36.0-36.9℃を基準とした場合)。

これまで、訪問入浴についての科学的なガイドラインはなく、経験によって判断されていました。

今回、入浴前の血圧と体温について、ガイドラインが示されたことで、科学的根拠に基づく高齢者への安全な入浴の実施が期待されるとしています。

なお、ガイドラインは絶対的な基準ではなく、最終的には個別に判断されるべきものであることも書き添えられています。

[シニアガイド編集部]