頭と身体を使う認知症予防運動「コグニサイズ」

[2016/3/22 00:19]

認知症予防を目的とする「コグニサイズ」

「コグニサイズ」とは、国立長寿医療研究センターが開発した、認知症予防の取り組みです。

コグニサイズ(cognicise)は、cognition (認知) とexercise (運動) を組み合わせた造語で、国立長寿医療研究センターの登録商標です。

認知症の予防や改善などの効果が実証されており、普及に向けた関連書籍や指導者養成研修も用意されています。

この記事では、無償公開されているパンフレットを中心に、コグニサイズについて紹介しましょう。

コグニサイズの無償公開パンフレット

国立長寿医療研究センターでは、「認知症予防に向けた運動 コグニサイズ」という8ページのパンフレットをPDFファイルで無償公開しています。

このパンフレットでは、コグニサイズについての説明や、運動にあたって注意すること、そして、コグニサイズの最初の課題として「コグニステップ」が紹介されています。

コグニステップは、1から数字を数えながら3の倍数では手を叩くという「認知課題」と、左右の足でステップを踏む「運動」を同時に行なうものです。

ほかにも、「コグニラダー」「みんなでコグニサイズ」「コグニウォーク」などの課題が紹介されています。

コグニサイズに興味を持たれた方は、まずこのパンフレットをダウンロードしてみましょう。

「コグニステップ」を紹介するパンフレットの一部

コグニサイズの特徴と目的

「コグニステップ」で分かるように、コグニサイズは、「体を動かす運動」と、暗算やしりとりなどの「頭の運動」(これを「認知課題」と言います)を一緒に行なうことが特徴です。

運動で体の健康を、認知課題で脳の活動を活発にして、認知症の発症を遅らせることを目的としています。

コグニサイズの内容は、どんな運動や認知課題でも構いません。

ただし、運動と認知課題の内容には、次のような注意があります。

身体負荷のかかる運動
運動は全身を使った、軽く息がはずむ程度(中程度)の負荷がかかるもの、脈拍数が上昇するぐらいが良いとされています。
難易度の高い認知課題
運動と同時に実施する認知課題によって、運動の方法や認知課題自体をたまに間違えてしまう程度の負荷がかかっていることが必要です。

コグニサイズの課題自体が、うまくできることにこだわってはいけません。

コグニサイズの目的は、認知症予防のために、体と脳に負荷をかけることです。

課題がうまくできるということは、脳への負担が少ないことを意味します。課題に慣れ始めたら、どんどん内容を変えていきましょう。

さらに先に進めたい場合は、国立長寿医療研究センターのホームページに用意されている関連書籍を利用したり、次に紹介する指導者養成研修を受けることが推奨されています。

本格的な指導者養成研修

国立長寿医療研究センターでは、「コグニサイズ」の普及に向けて、指導者養成研修を行なっています。

老人福祉施設でコグニサイズの実施を考えているときは、担当者が研修を受けることが推奨されています。

養成研修には、「コグニサイズ指導者研修」(2日間)と「コグニサイズ実践者研修」(1日間)があります。

「コグニサイズ指導者研修」では、コグニサイズの理論、認知機能の評価、コグニサイズの実践を含む包括的な講習内容となっており、受講者が一定の要件を満たした場合には、所属施設を「コグニサイズ推進協力施設」として認定されます。

「コグニサイズ実践者研修」は、コグニサイズの実践者を対象としてコグニサイズの具体的内容について研修します。

今年度の研修日程については、まだ公開されていませんので、国立長寿医療研究センターのホームページで確認してください。

[シニアガイド編集部]