料理写真の投稿状況で分かる、シニアへのSNSの普及率
「食」とSNSに関する調査
「食」に関する調査研究機関の「ホットペッパー グルメ リサーチセンター」が行なった、「SNSにおける食べ物や外食風景写真の投稿状況」の調査結果が公開されています。
調査対象は、首都圏、関西圏、東海圏に在住の20~69歳の男女で、全体では1万人規模の大きな調査です。
結果の一部は、性別、年代別に分類されており、シニア層のSNS利用についての面白いデータとなっています。
ここでは、50代と60代のSNS利用に注目しながら見ていきましょう。
女性に強い「クックパッド」
まず、「月1回以上定期的に使っているSNS等のメディア」を聞いています。
結果を見ると、50代と60代の男女を通じて、「SNSなどを使っていない」という回答が一番多くなっています。
SNSは、年齢層によって、利用率が大きく異なっています。
若い層も含めて見ると、20代と30代はSNSを重視していますが、40代になると利用率が下がり始め、50代でめっきり減って、60代は使っている人の方が少なくなります。
次に、使っているサイトを見てみましょう。
50代男性では、「Facebook」「LINE」「Twitter」の順です。
60代男性でも、「Facebook」「LINE」「Twitter」という順番は変わりませんが、それぞれ使っている人が、50代に比べて10%ぐらい少なくなります。
50代女性では、「LINE」「クックパッド」「Facebook」の順です。
60代女性では、「クックパッド」「Facebook」「LINE」の順になります。いずれも、50代に比べて利用している人が少なくなります。
また、「クックパッド」は利用率の男女差が大きいサイトで、女性は年代を問わずに20%~30%の人が利用しているのに対して、男性は利用者は10%以下に留まっています。
80%以上の人は食事の写真を投稿したことがない
次に、「1年以内に食べ物や外食風景写真を投稿したことのあるSNS等のメディア」を聞いています。
50代と60代の男女では、80%以上の人が「いずれもない」、つまり、食事などの写真を投稿したことがないと回答しています。
食事や料理の写真を投稿するという文化が、シニア層には浸透していないことがわかります。
投稿しているSNSは、50代60代の男女すべてで「Facebook」「LINE」「Twitter」の順でした。
しかし、いずれも利用率は10%前後です。
投稿の理由は「おいしい店・料理を忘れないための記録」
最後に、写真を投稿したことがある人だけを対象に、「食べ物や外食風景の写真を投稿する理由や目的」を聞いています。
50代男性では、「おいしい店・料理を忘れないための記録」が多く、「自分の趣味として楽しい」と「いっしょに食べていない友人・知人に共感してもらうため」が続きます。
60代男性では、1位の「おいしい店・料理を忘れないための記録」は同じですが、2位が「いっしょに食べていない友人・知人に共感してもらうため」になり、「自分の趣味として楽しい」が3位となります。
なお、50代60代の男性の特徴として「店や料理を紹介することで、店を応援したい」という回答が、他の年代より多くなっています。
50代60代の女性は、いずれも「おいしい店・料理を忘れないための記録」「自分の趣味として楽しい」「いっしょに食べていない友人・知人に共感してもらうため」の順でした。
同じ年代の男性に比べて、「店や料理を紹介することで、店を応援したい」という回答は少なくなっています。
シニア層へSNSが浸透するには時間がかかる
調査結果をシニアの視点で見ると、SNS等のメディアが、あまり浸透していないことがわかります。
例えば、「月1回以上定期的に使っているSNS等のメディア」の回答を見ると、50代では40%以上、60代では60%以上の人が月に1度も閲覧もしていないことがわかります。つまり、半数前後の人はSNSをまったく利用していないと見てよいでしょう。
また、「1年以内に食べ物や外食風景写真を投稿したことのあるSNS等のメディア」の回答を見ると、80%以上の人がないと回答しています。
この調査はインターネット上で行なわれているものですから、回答者もインターネットを使いこなすスキルがある方です。それでも、SNSなどについては低い利用率に留まっています。
シニア層にSNSが普及するためには、もう少し時間がかかるでしょう。