ガン患者の「5年相対生存率」が3.5%向上

[2016/7/23 00:44]

国立研究開発法人 国立がん研究センターがん対策情報センターを中心とする研究班が、ガン患者の「5年相対生存率」を公開しました。

今回の生存率は、2006年から2008年の3年間にガンと診断された、全国の21県の644,407人の症例を元に集計されたものです。

「5年相対生存率」は、特定の年齢の日本人が5年後に生存している確率を100%とした場合に、同じ年齢のがん患者が治療後に何%生存しているかで表しています。

すべてのガンを対象にした5年相対生存率は「62.1%」でした。これは前回の調査に比べて3.5%向上しています。

男女別では、男性が59.1%、女性が66.0%で、それぞれ前回の調査より向上しています。

5年相対生存率が90%を越えるガンもある

5年相対生存率は、男女の性別や、ガンの種類によって異なります。

5年相対生存率が高く90%を超えているガンは、男性では「前立腺がん」(97.5%)や「皮膚がん」(92.2%)、女性では「甲状腺がん」(94.9%)や「皮膚がん」(92.5%)、「乳がん」(91.1%)でした。

逆に5年相対生存率が低いガンは、「膵臓(すいぞう)がん」で、男女とも10%を切っています。

男性の部位別5年相対生存率
女性の部位別5年相対生存率

ガンは進行状況によって生存率が変わる

また、ガンの進行状況を、次の3つの段階に分け、それぞれの5年相対生存率を計算しています。

  • 限局 発生した臓器付近にとどまっているガン
  • 領域浸潤(領域) その臓器に所属するリンパ節への転移や、隣接臓器に浸潤(しんじゅん)しているガン
  • 遠隔 離れた場所のリンパ節や臓器に転移しているガン

すべてのガンについて5年相対生存率を計算すると、「限局」の場合は90.4%、「領域」の場合は55.1%、「遠隔」の場合は13.6%でした。

ガンに対しては、早い段階で発見して、必要な対応を行なうことが、生存率の向上につながることが分かります。

臨床進行度別5年相対生存率 *1:悪性黒色腫を含む、*2女性
[シニアガイド編集部]