海に落ちて死亡する釣り人の7割は55歳以上
事故が多いのは「遊泳」と「釣り」
今回は、海上保安庁のデータをもとに、マリンレジャーに伴う事故の特徴を紹介します。
データ及び図版は、海上保安庁による「平成27年釣り中の事故発生状況」というレポートによります。
マリンレジャーごとに見た事故の数では、「遊泳」と「釣り」が多く、年ごとに1位2位が入れ替わっています。
平成18年から平成27年までの10年間で起こった海浜事故を人数で見ると「8,553人」でしたが、そのうちの3,026人が「遊泳」、2,792人が「釣り」で、2つで全体の68%を占めます。
釣りの死亡事故の87%は「海中転落」が原因
釣りの事故でもっとも多く、全体の70%を占めているのが、岸辺から海に落ちる「海中転落」です。
さらに、死亡事故に至ることが多く、平成18年から平成27年までの10年間の「釣り」による死者・行方不明者数1,031人のうち、899人は海中転落によるものです。
比率で見ると、「海中転落」は釣りによる死者・行方不明者の87%を占めています。
「防波堤」「磯場」などが危ない
「海中転落」が起きやすい場所は、「防波堤」「磯場」「岸壁」「消波ブロック」の4つです。
特に危険に見えなくても、足場の悪さや高波など、ちょっとしたことが事故につながります。
55歳を過ぎると事故が多くなる
「海中転落」事故の当事者を年齢別に見ると、55歳を過ぎたあたりから、事故の件数が急に増えます。
死者・行方不明者数も同様で、60代がピークとなっています。
「海中転落」事故のうち、55歳以上の人が占める割合は55%、死者・行方不明者数では69%に達します。
ライフジャケットが命の分かれ目
「海中転落」事故について分析すると、救命具である「ライフジャケット(救命胴衣)」を着用していた場合の生存率は70%ですが、着用していなかった場合は50%に下がります。
しかし、「海中転落」事故の当事者のうちライフジャケットを着用していた人の割合は20%に留まっています。
また、「55歳以上」で「ライフジャケットを着用していない」という条件が重なると、事故に遭った際に、死亡する確率が高くなります。
若いうちはライフジャケットを着用していなくても、岸に泳ぎ戻ることができても、高齢で体力が衰えていると泳ぐ力も落ちているのでしょう。
釣りの事故は1年中
海の事故は、夏休みに注目を集める機会が多いのですが、実は「釣り」の事故は1年中起きています。
季節を問わずにライフジャケットを着用するなど、事故に気をつけて釣りを楽しみましょう。