分かってはいても、実践できない「家庭の防災対策」
住宅総合メーカーの大和ハウス工業が、防災についての調査を行なっています。
ここでは、身近な防災対策に関する意識について、見てみましょう。
この調査は、2016年8月にインターネット上で行なわれました。調査対象は全国の新築戸建住宅購入検討者で、回答者数は1,035名でした。
防災対策を知っていても、実践している人は少ない
地震対策について、「知っていること」と「実践していること」のそれぞれの割合について調査しました。
「食糧や飲料水を準備する」や「携帯ラジオ、懐中電灯、医薬品などを準備する」という基本的な防災対策については、「知っている」人は90%台で、ほとんどの人が知っていますが、「実践している」人は50%台でした。
特に、「家屋の耐震化や耐震診断を行う」については、「知っている」人は53%なのに対し、「実践している」人は5%と、10分の1以下に留まっています。
防災対策のどの項目をとっても、「知っていること」と「実践していること」には大きな差異が見られました。
防災対策が実践できているのは関東地方と中部地方
さらに、地震対策を実践できているかを、全国を8つの地域に分けて集計しました。
「関東地方」は、「食料や飲料水を準備する」、「携帯ラジオ、懐中電灯、医薬品などを準備する」などの8項目において、最も高い割合で実践されています。
また、「中部地方」も、「地震保険の加入」と「家屋の耐震化や耐震診断を行う」の2項目で、関東地方を上回っており、防災意識の高さがうかがえます。
この2つの地区では、関東大震災の再来や、東海地震の発生など、「大地震がいつか来る」という報道が繰り返し行なわれており、それが防災意識の高さに結びついている可能性があります。
一方で、北海道および中国地方では、4項目において実践している割合が最も低くなっています。
日本列島では地震が起こらないところはない
下の図は、政府が作成した「全国地震動予測地図2016年版」によるもので、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率に応じて着色した地図です。
確率がゼロの場合は白いメッシュになりますが、ご覧のように日本列島のほぼ全域が着色されています。つまり、全国のどの場所でも震度6弱以上の大地震が起きる確率があります。
防災対策を実践するためには、手間がかかる場合もありますが、万一の地震に備えて、できることから防災対策を進めて行きましょう。