「老後は同じ地域に住み続けたくない」と思う理由は、都会と町村で異なる
同じ地域に住み続けたいか移住か
厚生労働省が「高齢社会に関する意識調査」の結果を公開しています。
これは、40歳以上の男女3,000人にインターネット上で行なった調査です。
今回は、「老後も同じ地域に住み続けたいか」というテーマを紹介しましょう。
このテーマの主旨は「今の家」にではなく「いま住んでいる地域」へ住み続けたいかということです。
逆に言えば、今の場所を離れて移住したいと考える理由も分かるでしょう。
図版は調査報告書から引用しています。
70%以上の人は、今の地域に住み続けたいと思っている
まず、「現在お住まいの地域に高齢期になっても住み続けたいと思いますか」と聞いています。
一番多いのは「そう思う」で、次も「どちらかというとそう思う」でした。
2つを合わせると、72.2%の人が、今の地域に住み続けたいと思っています。
回答を年齢別に見ると、年齢が高くなるほど「今の地域に住み続けたい」という人が増えます。
また、現在住んでいる地域の種別ごとにみると、政令指定都市などの都会に住んでいる人の方が、町村に住んでいる人よりも、住み続けたいという人が多くなっています。
しかし、政令指定都市は74.2%、町村は66.1%なので、その差は10%もありませんから、住んでいる地域による差は大きくありません。
住み続けたい理由は「住み慣れているから」
さきほどの問いに「住み続けたい」と回答した人に、3つまで理由を聞いています。
一番多い回答は「住み慣れているから」で、9割近い人が理由としています。
次は「交通の便がよく買い物などをしやすいから」で、3番目は「家族、友人など頼れる人が近くにいるから」でした。
年齢別に見ても順位は変わりません。
ただ、年齢が高くなると「家族、友人など頼れる人が近くにいるから」が多くなる傾向はあります。
また、現在住んでいる居住地域別に見ても、どの地域でも「住み慣れているから」が1番多い回答です。
地域差としては、大都市では「交通の便がよく買い物などをしやすいから」が、町村では「自然に恵まれているから」が多いという傾向があります。
住み続けたくない理由は「交通の便が悪い」
今度は、「住み続けたくない」と回答した人に、3つまで理由を聞いています。
一番多い回答は「交通の便が悪く買い物などが不便だから」でした。
2位は「家族、友人など頼りたい人が近くにいないから」で、3位は「地域の交流が乏しいから」です。
「住み続けたい」と思っている人のほとんどが「住み慣れているから」を理由として挙げているのに対し、「住み続けたくない」という人の理由は分散しています。
地域別に回答を見ると、それがはっきり分かります。
都会では「地域での交流がとぼしいから」が一番多く、「家族、友人など頼れる人が近くにいないから」が2位となっています。
一方、町村では「交通の便が悪く買い物などが不便だから」が78.1%と圧倒的に多い1位で、2位は「医療・介護サービスに不安があるから」でした。
つまり、住み続けたくないという人は、都会では人との交流が欠けているからという理由が、町村では交通や医療・介護などの利便性が乏しいからという理由が多いのです。
定年後に地方移住を検討されている方は、この都会と町村の「住み続けたくない」という理由の違いが参考になることでしょう。