年末調整で、みんなはどれぐらい控除を受けているのか
年末調整と控除の実態
年末が近くなると、勤め先の会社から「年末調整に必要な書類を提出する」ように言われます。
それに応じて、家族の構成や、生命保険の支払証明などの書類を提出することで、いろいろな控除の金額が決まり、あなたの最終的な所得税額が決まります。
では、年末調整を受けている人の中で、どれぐらいの人が、どんな控除を受けているのでしょう。
国税庁が行なった「平成27年分 民間給与実態統計調査」のデータを基にして、見てみましょう。
なお、最新の調査結果は、まだ最終的なものではなく、概要の段階なので変更される可能性もあります。「だいたい、こんな傾向」ぐらいにお考えください。
グラフは資料を基に、編集部が作成しました。
扶養家族がいる人は3分の1
最初に「配偶者控除」と「扶養控除」から見てみましょう。
給与所得者4,348万人のうち、扶養者を対象にした、この2つの控除を受けている人は「31.8%」です。
これにちょっと収入が多い配偶者を対象にした「配偶者特別控除」の分も入れると「34.0%」です。
つまり、確定申告をしている人のうち、扶養している家族がいる人は、だいたい3分の1ぐらいです。
思ったよりも少ない感じがするのは、夫婦共稼ぎで配偶者が扶養を外れていたり、子供が成人して独立している場合が多いのでしょう。
扶養の対象者は「1.47人」
「配偶者控除」と「扶養控除」の対象となっている扶養人員の平均は「1.47人」です。
扶養が「1人」の人が一番多く「66.5%」です。
4人以上扶養人員が居る人は、とても少ないことが分かります。
生命保険料控除は「71.8%」の人が受けている
ここからは各種の保険についての控除を見ていきます。
「社会保険料控除」は「88.4%」の人が対象となっています。
「生命保険料控除」も「71.8%」と対象者が多くなっています。加入が義務化されている社会保険と、あまり差がないほど生命保険に入っている人が多いことがわかります。
しかし、「地震保険料控除」の対象者は「16.8%」しかいません。地震保険の加入率は、2015年の全国平均で29.5%ですから、それよりかなり少なくなっています。
損害保険会社から来た書類を、提出し忘れている人が多いのかもしれません。
控除額が大きい「社会保険料控除」
次に、各控除の控除金額を見てみましょう。
「社会保険料控除」では、1人当たり「61.2万円」も控除を受けています。
社会保険料控除は、支払った金額の全額が控除の対象となるため、毎月支払っている社会保険の保険料が、そのまま丸ごと控除金額となります。
「生命保険料控除」では、1人当たりの控除額は「6.5万円」と小さくなります。
生命保険料控除は、生命保険に支払った金額により、その一部しか控除の対象になりません。また、控除の上限が12万円と決まっています。
「地震保険料控除」では、1人当たりの控除額が「1.6」万円しかありません。
地震保険料にも、最高5万円という上限がありますが、そもそも、そんなに保険料が高くありませんから、控除額も少なくなるのです。
控除の内容から家族の生き方が分かる
ここに示した控除は、年末調整に係る控除の一部です。
しかし、配偶者控除と扶養控除を受けている人が、全体の3分の1だったり、上限がない社会保険料控除の控除金額が1人当たり60万円を越えているなど、面白いトピックがありました。
サラリーマンの場合、年末調整が自分の所得税を決める大事なイベントです。
きっちりと書類を揃え、自分に使える控除をうまく利用して、少しでも節税に励みましょう。