座ってできる腰痛対策。「スーッと背伸び」体操を紹介
腰部脊柱管狭窄症狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)の専門サイト「脊柱管狭窄症ひろば」を運営する、わかさ出版が、「清水整形外科クリニック」の清水伸一院長による、腰痛対策の体操を紹介しています。
同時に行なわれたアンケートの結果も交えながら、この体操を紹介しましょう。
座ったままでできる「スーッと背伸び」体操
清水院長が腰痛対策として紹介しているのは、「スーッと背伸び」体操です。
運動をすることは腰痛の予防・対策に重要なポイントですが、もう一つ重要なポイントは『姿勢』です。腰痛を避けるために、患者さんの多くが前かがみ姿勢を取りがちです。しかし、前かがみ姿勢は背骨本来のS字カーブ(ナチュラルライン)がくずれ、胸椎の後弯が強まる「曲がり胸椎(ネコ背)」を引き起こします。この曲がり胸椎の悪影響は全身に及び、肩こりや慢性疲労、肥満、集中力の低下、冷えなどを招くことになります。腰痛の予防・対策のためにも、この曲がり胸椎を正しい姿勢に導くことが必要になってきます。そこで、おすすめの体操は『スーッと背伸び』です。やり方も簡単なので、ぜひ試してみてください。
下の図の動作を、3回くり返すのを1セットとして、まだ体が硬い朝は3セット、昼は5セット、夜は6セットを目安に行なってください。
『スーッと背伸び』は、イスに座って行なうので、オフィスで座ったままでも、テレビを見ながらでも簡単にできます。きちんと続ければ、腰痛の人が陥りがちな前かがみ姿勢が解消され、全身に送られる血液や酸素の量が増えて腰痛以外の症状を緩和することにもつながるでしょう
腰痛対策は「運動」と「薬」と「姿勢」
同時に公開されている腰痛持ちの人のアンケートでは、「腰痛予防・対策にどのようなことをしますか」という質問に対して、「運動をする(ストレッチ、体操、筋トレ、ウォーキングなど)」が1位でした。
ほぼ同じぐらいの割合で、「塗り薬/貼り薬を使う」と「姿勢を変える」が続いています。
1位の「運動」について、清水院長は次のようにコメントしています。
運動で腰痛の予防・対策をすることは間違っていません。しかし、多くの人は『痛みが消えたからもういいだろう』と考えてしまうことが問題です。これでは、また腰痛が再発して、いつまでも腰痛が根本的に解決しません。実際に、患者さんの中には、私のクリニックに来院して、改善方法を指導し、その場で痛みが軽快して以降来院せず、しばらくすると腰痛を訴えて再度来院する、ということをくり返す患者さんが多々見受けられます。
本当に大切なのは『腰痛の出ない体づくり』を継続して行なうことです。腰痛がないときでも、日常的にマッサージや運動を継続することで、痛みの出ない体づくりをすれば、腰痛の再発が防げ、のちのち腰痛が悪化して日常生活に支障が出るような事態も避けられるでしょう
冬はきちんと体を温めて腰痛の予防を
また、腰痛持ちの人に寒い季節の過ごし方を、清水院長がアドバイスしています。
特に寒さが厳しくなってくる冬は腰痛が悪化する患者さんが多くいるので注意が必要です。冬に腰痛が悪化する理由のひとつは、寒さで体が縮こまることで前かがみの姿勢をとって、先述の曲がり胸椎の状態になりやすくなるからです。もう一つは寒さで筋肉が萎縮・緊張して硬くなりやすくなることです。背骨を支える筋肉が萎縮・緊張してしまうと、腰椎や骨盤が歪んでしまい、腰痛となって現れる場合があるので注意が必要です。(中略)腰痛は悪化すると立てなくなる・歩けなくなるなど、生活に支障が出る厄介なものですが、きちんと診察を受けて、自分に合った体操や生活習慣などを身につければ予防・対策ができます。この冬はきちんと体を温めてマッサージなどで筋肉をほぐし、『スーッと背伸び』で姿勢を正して腰痛の予防・対策を試みてください